[Radio]ブルックリンで開催された「ロックの殿堂」2016年の殿堂入りセレモニーをレポート!!

IMG_5978
ROCK’N ROLL HALL OF FAME INDUCTION CEREMONY 2016

「ロックの殿堂」ってご存知ですか?

「野球の殿堂」の音楽版と思ってもらっていいのですが・・・例えばグラミー賞というのが、その年の最新&大ヒット作品やアーティストに与えられるのとは違い、長くサクセスフルなキャリアでどれほどアメリカの音楽シーンに貢献したかによって選ばれるのが「殿堂入りアーティスト」。だからステータスが違う!!

1986年からこれまでに312組のアーティストが殿堂入り。エルビス・プレスリーからビートルズBB KINGからジェームス・ブラウンまで錚々たるメンバーです。

彼らの音楽は、その楽器や衣装などと共に、クリーブランドにあるロックの殿堂ミュージアムに展示され、ここは往年のファンにとっては人生を共に過ごした音楽を改めて楽しむ場所であり、若者にとってはアメリカの音楽の歴史を学び、次の世代に伝えていくための場。まさに今注目のエジュテインメント(エジュケーションとエンターテイメントのミックス)の極み。ロックを国の宝として愛情込めて大切にの残しているアメリカならでは。

rock-hall-2-big
ROCK’N ROLL HALL OF FAME MUSEUM IN CLEVELAND

そして今年2016年の殿堂入りアーティストのキャリアを讃え、祝う「殿堂入りセレモニー&コンサート」が開催されました。今年の会場は一昨年と同じブルックリンのバークレーセンター(2万5千人収容)

今年は5組のアーティストが殿堂入り。

まずメタリカのラーズ・ウルリッヒに紹介されて登場したのは、1968年結成のイギリスのハードロックバンド、ディープパープル!! 実は私のロックバージンを奪ってくれたのはこのバンド。「Hush」「Smoke On The Water」「Highway Star」などデンジャラスにもクールなロックの歴史に残る大ヒット曲。しかし内実もデンジャラスで度重なる内紛とメンバーチェンジに祟られその功績は低く見られがち。しかしハードロック、メタルシーンに絶大な影響を与えたということで、今回ついに殿堂入りしました。しかし中心人物でギタリストのリッチー・ブラックモアは登場せず、やはり分裂模様は隠せず残念!

DSCN0820
DEEP PURPLE CIRCA 1970’S

続いてもキャリア40年以上組。スティーブ・ミラーブラック・キーズに紹介され殿堂入り。
さらにあと2組の大御所が殿堂入りしました。まずロブ・トーマスに呼び込まれたのはシカゴ、これまた結成から来年で50周年! ブラスセクション含むファンキーな大所帯バンドです。もう一組はチープトリック。キッド・ロックに呼び込まれて登場です。彼らは1978年に日本でリリースされたライブ盤がアメリカに逆輸入されて大ブレイクしたという珍しいバンド。どちらもこれまでずっとコンスタントにツアーを続けてきたという驚きのキャリアです。それだけに演奏も全く衰えを感じさせず素晴らしい! いやロックンローラーは60代も70代も若い!!

DSCN0902
CHICAGO
DSCN0914
CHEAP TRICK

このセレモニーの特色は、たっぷりと時間をとって長〜い年月を振り返ること。グラミーみたいにスピーチ半ばで音楽が流れ出し、そそくさと退場みたいなことはないんです。だから皆当時のエピソードを話したり、お世話になった人たちに感謝する。その感謝の相手は、まず神様、そして家族、特にワイフ。ロックミュージシャンをやりながら人間としてまともに生きてこられたのはワイフのおかげ・・・何度も泣かせたその罪滅ぼしをステージから? そして最後に最大の感謝を捧げているのが「マネージャー」。クレイジーなロックバンドをまとめ上げただけでなく、仕事を取ってきてビジネスとして成立させるという信じられないような仕事を30年とか40年やってきた。これはもう並大抵のことではなく、彼らも殿堂入りさせてあげたいくらいという気持ちになったほど。

DSCN0909
CHEEP TRICK

そして、日本がきっかけでスーパースターになったチープトリックからは「日本に感謝」という嬉しい言葉も!

DSCN0853
STEVE MILLER

そんな中でもロックらしく反骨精神丸出しだったのはスティーブ・ミラーで「ロックの殿堂はもっと女性アーティストを殿堂入りさせるべき」と、賞をくれた相手に堂々と喧嘩を売っている・・・いや批判している。

まあこうした波乱なくして「ロックにあらず!」というわけで、そのきわめつけはドクター・ドレ率いる伝説のヒップホップユニットN.W.A! 今ヒップホップ界の頂点に立つアーティスト、ケンドリック・ラマーに紹介されて登場です。

DSCN0860
KENDRICK LAMAR INDUCTED N.W.A

N.W.Aは去年リリースされた伝記映画「Staraight Outa Comptons」が全米ナンバーワンヒットになりましたが、その中でも描かれていた通り、反体制的で過激なラップでギャングスタ・ラップと呼ばれながら、警察のハラスメントにも屈せず活動を続け、ソロとなったアイスキューブ故Easy-E, さらにはドレが発掘、プロデュースしたスヌープ・ドッグ、エミネムなどにより、ヒップホップを黒人の反抗の象徴から、世界的なポピュラー音楽に押し上げた大変な功績です。。

ただ本当に残念だったのは、彼らがパフォーマンスしなかったこと。もしここで演奏していたら一夜限りのの再結成ということですごい話題になっていたはずなのに! その理由をアイスキューブは「自分たちがやりたかった方法でのパフォーマンスができないことがわかったから。」さらに、ハリウッド・スターにまで上り詰めた彼の口からこんな言葉が・・・「やはり自分達は冷遇されているような気がする」ニューヨークタイムスの取材に対し寂しげにコメントしていましたが、そう感じるのも無理はないかもしれません。実はこれまで殿堂入りしたヒップホップアーティストはわずか4組なんです。

DSCN0865
ICE CUBE SPEAKS OUT

そんな中で根強いのが「ヒップホップはロックなのか?」 という論争。その最大の論客がキッスのジーン・シモンズで、「楽器も引かないし、歌も歌わないアーティストはロックではない」と断言。

しかし、それに対しアイスキューブは「ロックンロールは楽器や歌のことを言うのではない
ロックはスピリットだ、反骨精神を持って新しいものを生み出すのがロックなのだ!」ときっぱり。

こうした様々な論争に対して当のロックの殿堂は、「いろいろな意見があってこそロック」と太っ腹な態度もこれまたロック?

それにしても、25年間アメリカで生きてきた私としては、音楽シーンが様々な壁を乗り越えてここまで来ている、時代が変わって来ているという感慨もしきり。

こういうことも含め、ロックの歴史を知るってことは、音楽だけじゃなく、人が生きてきた歴史を知ること。これぞエジュテインメントの極みではないですか!?

 

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s