今日のキーワードは「Apology 謝罪」 JFN DAY BY DAY 5月26日(木)にレポートした内容です。
オバマ大統領がG7で日本にいますね。
中でも 大統領として戦後初めて訪問する広島で、何を語るのか・・・・原爆投下に関してホワイトハウスは「謝罪はない」と言っているが。実際にどうなのか?
そしてアメリカ人これをどう見ているのか?気になっている方もいるかもしれません。
がっかりさせてしまうかもしれませんが、実はこれに関する報道は今の所とても少ない、関心も薄い。
その最大の理由は、今大統領選の真っ只中だから。今日もカリフォルニアでトランプ支持者と反対派の衝突が大きなニュースに。泥仕合いになってきている選挙戦、国の未来がかかっているだけに、
アメリカには今過去を振り返っている余裕はないのかもしれません。
しかもオバマ大統領の任期はもう終わったも同然と思われている…これがアメリカの現実です。
でも数は少ないけれど、有識者層が読むNYタイムスとか、
サロン・ドットコムみたいなリベラルでオルタナティブなメディアでは
しっかり議論がなされている。それはちゃんとお伝えしたい 。

ここで…もうこれも皆さんご存知と思いますが、
一般のアメリカ人が原爆投下をどう考えているのか、
戦争終結のためには必要な行為だった、と考えている人が、
去年の時点(最新の統計)アメリカ人の45%
投下すべきでなかったという人の29%を上回っている。
しかし「必要だった」と考える数は年々減り続け、若い層では逆転している。
歴史は時代とともに解釈が変わるし、風化したというのもある、単純ではありません。
ただそういう中で、多くの有識者が訴えているのは、
原爆投下は何が何でもモラルに反することで、
たとえ戦争だからといって、許されるべきではない。
「謝罪することで歴史的事実を認めているというメッセージを送るべき。」ということなんです。
でも謝罪はそう簡単ではないことも、アメリカの歴史が語っています。
例えばアメリカには他にも 負の遺産がたくさんあるが、
その最たるものが奴隷制度です。
アメリカの歴史最大の汚点にして 最悪の犯罪とも言われる。
アフリカから 連れてきた黒人奴隷に
数百年に渡り過酷な労働を強いて、
数え切れない人が亡くなったのはもちろん、
そのおかげで今も多くの黒人が貧困の中で暮らし、
人種差別や偏見がアメリカ社会を蝕んでいる。
一方で彼らの無償の労働力のおかげで、国が豊かになり、
アメリカの今があることは誰もが知っている。
ところが 大統領も、政府としても、 これに
関して未だちゃんと謝罪していない。
奴隷解放から何年経っているのかというと・・・今年で151年。
誰もが歴史的事実を認めているのにもかかわらず、
「あやまる必要はない」という人が、
減ってきてはいるものの、アメリカ人の49%
あやまるべきという人の41%を上回っている。
謝ろうにも当事者がもう誰もいない、それに謝ったらじゃあ保証はどうするのかという問題も出てくる・・・
モラルを語りながらも、アメリカ人はこうした矛盾、ジレンマの中で生きている。
アメリカに限らず、どんな国でも大なり小なりこうした過ちを犯している。
特に強大であればあるほど負の遺産は大きい。
課題は残り続けますね・・・・