
ニューヨークに戻りました。
戻ってみると大きく報道されていたのは、先日フロリダで49人が射殺された事件です。
イスラム過激派に影響されたテロかそうでないのか? 未だにはっきりした答えが出ない、その理由は、犯行現場がゲイクラブだったから。
ゲイをターゲットにしたヘイトクライムではないか? あるいはその両方とも言われています。
ビレッジにあるバー「Stonewall Inn」(1969年に起こった警官隊との衝突事件がLGBT運動の発祥のきっかけとなった)の前には、犠牲になった人たちを追悼する早やキャンドルが置かれ、多くの人が足を止めていました。
そして事件から1週間たった今週のアメリカは「プライドウィーク」を迎えています。
「プライドウィーク」というのは今から46年前ニューヨークで始まったLGBTの社会運動です。
LGBTはレスビアン、ゲイ、バイ、トランスジェンダー、(現在アメリカの人口の4%がLGBTと言われています。)
1週間の間に政治的な集会から、最後の日曜日に行われるパレードやパーティまで、全米でたくさんのイベントが行われます。

特にニューヨークのパレードは、レインボーカラーの旗を持った何千人もの人たち、派手に着飾ったトランスベスタイトや、上半身裸のマッチョなお兄さんたちが踊りながらパレード。それを100万人以上の人が見に来て一緒に楽しむすごくハッピーなイベント。とにかく彼らの巻き込みパワーがすごい!

踊りながら、LGBTの人権だけでなく、性別とか肌の色を超えて、あらゆる人の権利と融和、さらには世界平和をアピールしている。
だからストレートの私でも、人と違ってもいい、 人と比べないで自分らしく生きればいいんだ、という勇気が湧いてくる・・・ニューヨークのLGBT運動の魅力はこういうところにあると思います。

実は・・・その LGBTをめぐるアメリカの環境がここ数年で激変しています。
まず最大の変化は去年、連邦裁判所が同性婚を認める判決を出したこと。
社会、文化的な変化がこれほどのスピードで進むのはアメリカの歴史始まって以来とも言われています。

ネット社会らしいスピードとも言えますが、LGBTの経済力、政治力が高まっているのも大きな理由です。
さらに今年はトランスジェンダーをめぐる動きが活発になっています。
トランスジェンダーというのは、生まれた性別と自分は違うと自覚している人たち。
実は去年、ブルース・ジェナーという元オリンピック選手のセレブが、ケイトリン・ジェナーに(つまり男性から女性に)なリました。この模様はテレビのリアリティショーなどで大きく紹介され、トランスジェンダーに突然スポットが当たりました。
そして最近のトイレ問題・・・ トランスジェンダー特に高校生や大学生が男女どちらのトイレに入ればいいのか? という問題が 大論争に。
ノースカロライナ州では「もともとの性別のトイレに入るべき」という法律が可決、それに対してブルース・スプリングスティーンなどのアーティストがコンサートをボイコット。
それに対しオバマ大統領は「自分が自覚する性別の方に入るべき」と声明を出して、またそれが大論争になり、LGBTの周囲は騒がしくなっています。
もちろん全ての人の人権は守られるべき、これがアメリカをアメリカたるものにしているのは間違いありません。
でも同性婚に反対する人は、減ってはいるもののまだアメリカ人の4割近く。
連邦政府はOK出しても、州法で同性婚を禁止している州が、50州のうち13州。
ホモフォビアと呼ばれるLGBTを嫌悪する人も少なからずいて、常にヘイトクライムが問題になっています。
それでも前に進もうとするのがアメリカという国でもあります。
今年のパレードは今度の日曜日、ただし、テロを受けて 警備が厳しくなるかもしれませんが、フロリダの犠牲者を追悼する熱いパレードになりそうです。
Pride Week Official Website
https://www.nycpride.org
JFN Day By Day オフィシャルサイト
http://www.jfn.jp/RadioShows/day