討論会直前の時点で、複数の専門機関の予想はヒラリー候補が勝つ確率86%~95%とかなり高くなっていました。
しかしそれも、根拠となっている世論調査の結果が正しければ、というわけで、
未だはっきりしない浮動票の行方もあり「本当かな?」と感じているのが多くの有権者の気持ちだったと思います。
そんな折に行われた今回の討論会の勝敗は、CNNによればヒラリー52% トランプ39%でヒラリー勝利。
過去2回の討論会のたびに、ヒラリーの優勢が高まってきていますが、実は今回の討論会は途中までは割と五分五分できていた印象だったのです。
少なくともトランプ候補は当初落ち着いて、自分の政策や考え方を述べていました。
ところが、中盤でその流れが変わったのはこの瞬間です。
トランプ候補が「選挙に勝っても負けても 投票の結果を受け入れますか?」と聞かれて
「イエス」と答えなかったどころか、「I’ll Keep you in suspense 」みなさんをハラハラさせて差し上げます。これを聞いてみんな驚愕しました。
選挙結果を認めると言わなかった候補者なんて聞いたことない。さらにみなさんをハラハラ? 大統領選ってわかってます? とにかくこれがトランプ候補に決定的にマイナスに働くのは間違いないと見られています。
逆にヒラリー候補がいいところを見せたのは、妊娠中絶のトピックです。
知らない人もいるかもしれないのでちょっと説明しておくと、アメリカの選挙戦には必ず妊娠中絶が問題となります。保守派(共和党)はPRO LIFE中絶反対、胎児にも命があるというスタンス、対するリベラル(民主党)はPRO CHOICE中絶賛成、妊娠中絶は女性の選択という考え方。
アメリカは現在国としては妊娠中絶は合法ですが、州によっては妊娠中絶が簡単にできないように法改正するところも出てきています。かつて過激な中絶反対派が中絶を専門にするクリニックに爆弾を投げ込む事件なども起きて、未だに物騒なトピックなのです。
トランプ候補はPRO LIFE中絶反対派で、以前「大統領になったら中絶は禁止にする。それでも中絶した女性には罰則を与える」と発言して炎上、罰則発言を取り消すということもありました。
ヒラリー候補は今回「妊娠中絶法は絶対に守る。これは女性の選択の問題で、国が介入しなくていい」とキッパリ。これは女性の強い共感を呼ぶデリバリーだったと思います。このように政策についてキッパリ言えるのはヒラリーの強みですが、今回もトランプの激しい攻撃に反応するのに時間を取られてしまって残念に感じました。
投票まであと20日です。ホント、トランプ候補が言う通りサスペンスです。