ニューヨークのハロウィンはおそらく世界最大規模、
ビレッジ・ハロウィーンパレードという夜のパレードに、なんと200万人もの人が出る!
しかも、アメリカでは4年に1度の大統領選の年のハロウィンは、いつもよりさらに盛り上がると言われています。というのも、1年近い長〜い選挙戦で、投票直前のこの時期、アメリカ人みんなすごいストレスがたまっているから!
そもそも10月31日ハロウィンは伝統的な祝日ではありません。それもかえって自由でいいのか、実にアメリカ人の7割以上が何らかの形でハロウィンを祝うと言われるくらい文化として浸透、年々盛り上がりを増しています。
かつてハロウィンといえば親子でかぼちゃの Jack-O-Lanternを作ったり、仮装して近所の家を回り 、Trick Or Treatとチョコレートやキャンディを集めたりと子供が中心でした。
でも今のハロウィンを盛り上げているのはミレニアルズと呼ばれる18〜35歳の若者世代です。
この週末はニューヨーク中のクラブやバーなどで、様々なハロウィンパーティがあり、アフターワークに仮装してオフィスパーティも少なくありません。
そしてハロウィン当日の夜ニューヨーカーが 繰り出すのが、ビレッジ・ハロウィーン・パレード。
暗くなってから始まるパレードは、巨大なガイコツの人形やら、ゾンビに仮装したダンスチームやら、あらゆる仕掛けや仮装で6万人が大行進。それを見にくる200万人の人も何かしら仮装するので、この夜はストリートも地下鉄の中も、普通の格好の人の方が珍しいくらい。まさにニューヨークの街が丸ごとホラー・ムービーと化して、なんとも怖楽しい夜なんです。
そしてトレンドコスチュームも毎年話題になります。定番の魔女やゾンビに比べて、トレンドものは映画やポップカルチャー系が主流です。人気なのは新スターウォーズ、そしてSuicide Squadのハーレー・クイン。特に今年らしいのは、大ヒットしたPokemon GO の、Pokemon master。
スナップチャットの色々な面白いフィルターを、 実際に作って顔につけちゃうのも人気。
また大統領選直前ということで、ヒラリー&トランプ両候補の仮装がかなり出そう。
さらに、決して主流ではありませんが、ピコ太郎の仮装が見られるかもというネット記事も見つけました。
→今年のトレンド仮装Top5
ところでこういう衣装を買ったり作ったりするのは結構安くないわけで、ハロウィンにアメリカ人が使うお金は一人平均約8千7百円、去年の7千7百円に比べて1割以上伸びています。予想される全体の経済効果は8千8百億円、こちらも去年より2割の伸び、10年前の1.5倍です。
なぜハロウィン消費がこんなに年々伸びてきているのか?
その理由は、ハロウィンほどミレニアル世代の若者の特性にマッチするお祭りはないから。
彼らの8割以上は仮装しますが、何しろスーパーヒーロー映画やゲームなどのポップカルチャーで育っているコスプレ大好き世代です。オタクかどうかはこのもう関係ない。ネット上でも常に多くのアイデンティティを使い分け、インスタグラムやスナップチャットでセルフィーに様々なフィルターを駆使して遊びまくるる彼らは、仮装するというコンセプトが日常、まさに「仮装世代」なのです。
自分の好きなキャラクターになって、みんなで映画やゲームの世界を、街で再現して遊べるのがハロウィン。こういう体験にはお金は惜しまないのがこの世代です。もちろん写真を撮りまくりソーシャルメディアに上げて2度も3度も楽しい!
ミレニアルズが作り出すエクスペリエンス・エコノミーの要素の一つとしても、ハロウィンはまさに今の時代を象徴するお祭りと言えるでしょう。
一方経済効果が高まるばかりのハロウィンは、今後のアメリカの消費動向を占うバロメーターのひとつにもなりつつあるようです。
大統領選が終わると、アメリカは感謝祭、クリスマスと一気にホリデー商戦になだれ込んでいきます。ホリデー商戦はお店によっては1年の3分の1を売り上げる、そして次の年の消費動向を占う大変重要なもの。その直前にあるハロウィンはホリデー商戦の前哨戦としての重要な要素なのです。
長い泥沼の大統領選を耐えてきたアメリカ人は、このまま、盛り上がったままでホリデーそして明るい2017年になだれ込んでいきたいと心から願っています。