アメリカは先週末からDaylight Savings Timeつまり夏時間になりました。なのに昨日は東海岸から中西部にかけて記録的なスノーストームがあり、ニューヨークは今日も最高気温マイナス2度。私も含め体調を崩す人が続出しています。
それに追い打ちをかけるように、今月上旬に発表されたトランプケア。これが施行されると、健康保険を失う人が、来年だけで1400万人(東京都の人口より多い!)さらに10年以内で2400万人が保険を失うという予測。これはものすごい数で、聞いただけで病気になりそうです。最も大きな影響を受ける低所得者層と高齢者にとっては切実な問題です。
ニューヨークの地元紙「デイリーニュース」は「これ以上アメリカに住んでいると命に関わる」という記事を掲載したほど。なぜこうなってしまっているのかは、お話するのにもう少し時間が必要なので次回に譲るとして、心の健康だけでも何とかキープしなければ、というアメリカ人の間で、去年後半あたりからちょっとした流行になっているのが、「フーガー」です。
「フーガー」とは「デンマーク発の癒し」・・・・どんなものなのか?
HYGGEと書いてフーガーと発音するそうです。
実はデンマークというのは世界で幸福度一位の国。(アメリカ13位、日本53位)デンマーク人にとって「フーガー」は国民的な価値観、幸せの秘密の一つとも言われています。
これがアメリカでも注目され去年あたりから関連本がベストセラーになり、オックスフォード国語辞典の2016年の「今年の言葉」の候補に上がったほど。
フーガーは「健康で安心」「居心地良さ」「癒し」といった意味で、そういうものを感じさせてくれるモノとか空間、食べ物、時間の過ごし方、すべてをひっくるめてフーガー。
とってもふんわりしたイメージで、特にこうしなければならないというルールはありません。
もともとは北欧の暗くて寒い冬の間 、家に家族や親しい友人が集まり、暖炉の前で暖かいワインなどを飲みながらまったりすることだったようです。
アイテムとしては、ざっくり編まれた手編みのセーターとかカシミアのソックス、食べ物は暖かいミルクをかけて食べるミューズリや、当然のことながらデニッシュ。フォームミルクでハートマークが書かれたカフェラテ。キャンドル、シープスキンの敷物・・・
こうした、どちらかというとシンプルな物に囲まれ、お互いに感謝しながら過ごす、というのをイメージしてもらえればいいとのことです。ちなみに北欧らしく、サウナで親しい人とゆっくり過ごすのもフーガーなんだとか。
アメリカではここ数年、デジタル化やマルチタスクにストレスを感じる人たちの間で塗り絵や編み物などとがトレンドになっていますが、フーガーもこの辺と関係ありそうです。
ちなみにスカンジナビア料理もトレンドです。

トランプケアで全米に激震が走っている中 、社会保障が手厚い北欧が注目されているという側面もあると思います。
とはいえニューヨークのウサギ小屋のような住宅事情と騒音地獄ではなかなかフーガーも難しい・・・という時には、ホテルの出番です。
フーガーといえばやはり暖炉。
ダウンタウンにあるルドロウ・ホテルは、ロビーラウンジに大きな暖炉が。カクテル1杯でふかふかの絨毯にアンティークのソファでゆったりくつろげます。
でもやはりプライベートなお部屋がいいな、という方は奮発してください。ニューヨーク高級ホテルは数あれど、お部屋に薪を燃やす暖炉があるところは、そうたくさんありません。ロイヤルトン・ホテルのお部屋には、そんな薪の暖炉が。しかもお好みでオーク、メイプル、ヒッコリーなど木の香りがチョイスできて、北欧の森のコテージにいる気分になれそうです。
またデンマークのミニマルなデザインが売り物のホテルもあります。イレブン・ハワード・ホテル。
ここは宿泊費の一部が、世界の貧困救済チャリティーに送られます。これも立派なフーガーですね。

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