(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています)
桜前線はまだ遠いニューヨーク、今日も最高気温3度で寒い1日でした。それでもニューヨーク3月はカラフルな季節。アートの季節です。
トランプ大統領は新予算案の中で、アートに対する助成金をゼロにすると言っていますが、ニューヨークはそんなのにはおそらく負けません。
ニューヨークは世界でも有数のアート都市、特にアートビジネス、特にコンテンポラリーの扱い量としてはニューヨークは世界のトップクラスと言われています。そして世界最大級のアートのトレードショー「アーモリーショー」が先日開かれ、世界中から関係者が集まりました。これをきっかけに大規模なトレードショーが5月ごろまで続き、多くのギャラリーや美術館もこの時期に大きなイベントをぶつけてきます。
でも今日ご紹介したいのは、そんな大規模なアートショーではありません。市民が毎日の暮らしの中で触れることができるアート、パブリック・アートです。中でも1月に開通したばかりの新しい地下鉄路線、セカンドアベニュー・サブウェイの構内のアートは本当に素晴らしいので、このタイミングでご紹介したいと思います。
セカンドアベニュー・サブウェイは、大変に曰く付きの地下鉄路線です。構想およそ100年。ところがやっと着工したのが1970年代。ところが ニューヨーク市が破産寸前となり頓挫。おかげでほとんど都市伝説になっていたのが、今年ようやく開通したわけですから、市民の注目も半端ありません。
でもそんな 期待を裏切らない出来ばえでした!新路線の4つの駅が、全てアートでいっぱいだったからです。1つの駅のアートを一人のアーティストが担当。だから4つの駅を乗り降りしながら、たっぷりミニ・アート・ツアーが楽しめるんです。

私のおすすめコースはまず68丁目駅からスタート。入り口から降りるエスカレーターの壁がすでにアート。アーティスト、ジーン・シンさんのテーマはレトロなニューヨーク。ブルーと白のタイルを使った、100年前のニューヨークをイメージさせるアートが壁いっぱいに広がります。

もっと他の写真もこちらから見られます→セカンドアヴェニュー・サブウェイ・ギャラリー
では地下鉄に乗って一気に96丁目まで行きましょう。

この長いエスカレーターから改札を抜けた構内へのフローがまた素晴らしい、
地下なのに壁や天井に青空が広がって、鳥の大群のような白い抽象的なオブジェが、構内を走り抜けています。アーティストはサラ・シェさん。

もっと他の写真もこちらから見られます→セカンドアヴェニュー・サブウェイ・ギャラリー
ここからは南に戻って86丁目。チャック・クロースは世界的に有名なモザイク・タイルのアーティスト。近くによるとびっくりするくらい緻密なタイルによるポートレートで、ミュージシャンのルー・リードなど、有名人も含めてずらり並んでいて、見ていて時間を忘れます。


もっと他の写真もこちらから見られます→セカンドアヴェニュー・サブウェイ・ギャラリー
そして最後、72丁目が一番遊べるアートです。
ヴィック・ミュニッツさんは、 タイルで人種のるつぼニューヨークを再現してしまいました。実物大のタイルのニューヨーカーがいっぱいです。立って本を読んでいるカップルの隣には、サックス片手のストリートミュージシャン。スニーカーでハイヒール片手のビジネスウーマンの隣に、ターバンを巻いたビジネスマン。子供を抱いてベビーカーを持ったお母さん。手をつないだゲイカップル、アイスキャンデー片手の警察官など。「ああこう言う人いるいる!」と思わず隣に並んで記念撮影したくなります。よく見るとセレブシェフのダニエル・ブールーが魚と野菜が入った袋を持っていたり。




もっと他の写真もこちらから見られます→セカンドアヴェニュー・サブウェイ・ギャラリー
本当にニューヨークらしい、エネルギーとスピリットに溢れた地下鉄アート。もしニューヨークに来る機会があったらちょっとだけ寄り道してみてくださいね。地下鉄の一律料金$2.75払うだけでたっぷり楽しめます。
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