（JFN系全国ネット　ON THE PLANETで４月中の月〜木で放送している「今日のトランプ大統領」を再構成しています）

４月１１日（火）放送

先週のレポートはは習近平（しゅうきんぺい・シージンピン）中国国家主席との会談の直前でしたが、またあらゆる予測をひっくり返す事態になりました。会談の真っ最中に、アメリカがシリアに対して報復攻撃を行ったからです。おかげで会議自体の影がすっかり薄くなってしまい、報道も少なめでした。

でもこの会議、 一応は成功したと考えられています。少なくとも二人のリーダーにとっては、米中関係は貿易不均衡など通商問題が山積みで、今回合意できたのはアメリカ産牛肉の輸入の再開と、一部の投資の自由化くらいです。それでも成功と言われる理由は・・・
トランプ大統領はかねてから、中国のせいでアメリカ経済が犠牲になっているという強い言い方をしてきたので、今回の会議でも全面対決するんじゃないかという恐れもあったんです。でもそうはならなかった。まず二人の友好的な関係を作り、その上で難しい問題に取り組んでいくという下地ができたというのです。そして、共同歩調をとって、北朝鮮の脅威に立ち向かうことにも合意できた。もちろん会談中に行なわれたシリア攻撃は中国に対し、「アメリカはやるときは本当にやる」という脅威になったこともあって、今は北朝鮮問題を先に解決しなければというメッセージを中国・アメリカの両国民に対し出すことができた。つまり、より深刻な経済問題を棚上げにすることができたというのです。

そして今まさに、アメリカの軍艦が朝鮮半島に展開しようとしていますが、これも北朝鮮に対する威嚇であり、中国に対するプレッシャーでもあります。

トランプ大統領は今朝のツイッターで「中国が北朝鮮に圧力をかけてくれれば、通商問題もうまく進むだろう」と言っています。どうしても中国に動いてもらいたい、それを通商問題と引き換えにするという言い方です。当面中国にとってはかなり難しい舵取りになりそうです。

ところで実は、このスムーズな友好関係を作る秘密兵器がトランプ政権にはありました。先週の放送で、日米首脳会談の時には安倍総理をゴルフ接待したけれど、ゴルフ嫌いの習主席に、何をして楽しんでもらうんだろう？という話をしました。では何をしたかというと、二人の子供が中国語で童謡を歌うなどして歓迎。この子供達はトランプ大統領の孫のアラベラちゃんとジョセフくん、イヴァンカ・トランプと夫のジャレド・クッシュナー大統領補佐官の子供たちです。

実はこの家族、今年の旧正月にワシントンの中国大使館を訪れて以来、中国で大変な人気になって、特にイヴァンカさんはセレブ並みの人気だとか。

でも政治的に注目して欲しいのは、イヴァンカ夫でトランプ大統領の娘婿の方です。クッシュナー大統領補佐官３６歳　今や大統領の右腕として世界を飛び回って大活躍中。補佐官と言っても、もともと不動産王２世で政治経験ゼロ。それで務まるのか？と思うかもしれませんが、そもそも大統領自身が政治経験ゼロなわけで、さらに彼が選んだ政権の長官も、 政治経験者の方が少ないという、前例にない人事ばかりしてきています。

今回の米中首脳会談はクシュナー補佐官が仕切ったのですが、中国では「国務長官よりクシュナーに言う方がトランプに伝わる」こちらも通常の外交チャンネルから外れた、ルール破りの外交です。

ちなみにイヴァンカさんも先月、政権の正式なスタッフになりました。こんな縁故採用ばかりでまずいのでは？　という声もあったんですが、今やシリアと北朝鮮の緊急事態に完全にかき消されてしまっています。

そんなわけで、 この米中会談は一応成功、中国でのトランプ政権の好感度も上がったということになるんですが、さて今後の厳しい外交・通商問題に直面しても、ファミリー外交でこの友好ムードが維持できるのかという疑問の声も少なくありません。

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