（JFN系全国ネット　ON THE PLANETで４月中の月〜木で放送している「今日のトランプ大統領」を再構成しています）

４月２６日（水）放送
今日もアメリカメディアの論調を中心にお伝えします。

就任から一区切りとなる１００日目を前に、世論調査でトランプ大統領の支持率は最低記録の４０％となりました。

ここまで低いということは、国民が全員一致で評価できる材料がないということ。そして、トランプ支持の人が評価することは、不支持の人は全く評価できない。国が完全に二極化しています。

そして、この評価の違い、二極化の原因の一つの理由は、アメリカの大きな変化の潮流をポジティブに捉えているか、そうでないかの違いでもあることが、最近出た選挙結果のデータでわかってきました。

その変化の潮流というのは、アメリカの多様化です。
以前から私は勝手に２０４３年問題と呼んでいましたが、アメリカの３億２千万人のうちおよそ６２％が白人で、それ以外は有色人種です。でも１９８０年代には ８割が白人だったのが、その割合が移民のおかげでどんどん減っている。多様化して行っているんですね。そしてその割合が２０４３年には逆転し、白人がアメリカ史上初めて、少数派になると、国勢調査が発表しています。

少数派になれば白人の立ち位置は一体どうなるのか？これまで一度も起きたことが起ころうとしているわけです。
これは私自身が移民で、アジア人という少数派なのでとてもよく理解できるんですが、日本で日本人という圧倒的多数の中で生きているのとは全く感覚が違います。

特にアメリカの場合は、奴隷制で豊かになった、さんざん有色人種を差別してきた歴史がありますから。これまであった既得権はどうなってしまうのか、すごく不安だと思います。

それを裏付ける調査もつい先日発表されました。
The Nationというリベラル系の老舗の雑誌に掲載されたもので、アメリカが多様化する、つまり白人率が減っていくことを、ネガティブに感じている、多様化を恐れている人ほどトランプ大統領に投票したことがわかりました。
これは経済など他のどのファクターよりも、大きなモチベーションになっていて、さらに、過去どの選挙でも見られなかった現象と分析されています。

でも当のアメリカ人でさえも、こういう動きに気づかなかった。なぜなら、白人でも過半数、特に若い世代は多様化こそアメリカを豊かにしているとポジティブに捉えていて、あらゆる人にチャンスがある理想のアメリカを実現したいと思っているから。それに常識あるアメリカ人は実は表立って 「多様化に反対」とはアメリカ人は言えません。あらゆる人が平等な移民の国アメリカの基本的な価値観に反してしまうからです。だからに潜在意識になって不法移民や外国人テロリストに強く反応する人もたくさんいると思います。

一方トランプ大統領は最初から、「今のアメリカはこのまま行くと終わる、救えるのは自分だけ」そして、「移民や難民（有色人種）の流入を止めて、アメリカ人の利益を守る」と言ってきた。これが支持者の心を潜在的に掴んだということになります。

で実際その公約を果たしているかというと、これまで中東からの渡航禁止の大統領令は、次々と連邦判事からノーをくらい、メキシコの壁の予算も先送り、その他の法案も、健康保険法改正は一度失敗、今税制改革を始めていますが、重要法案は１つも成立していない。

一方で 成功したと評価されているのは、最高裁判事の指名。シリアへの爆撃や北朝鮮への強い姿勢も支持者はポジティブに捉えています。「なかなかよくやっている、まだまだこれから」と「孤軍奮闘する」トランプ大統領を支持する姿勢です。

多人種が生きる超大国アメリカは、世界のどの国よりもパワーがありますが、一方で人種問題、差別とか偏見と戦い続けています。その動きの中でオバマ大統領が誕生し、今はその逆に振り子がふれている時期です。２０４３年に向かって、まだまだ色々起きてくると思います。日本人にはわかりにくい話ですが、人種を知るとアメリカがもっとよく見えてきます。

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