(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています)
先週の番組のすぐ後で、トランプ大統領が結局パリ協定から離脱してしまいましたが、明日はついにトランプ大統領のロシア疑惑のメインイベント、トランプ・コミー劇場の開幕!
アメリカ人はこのコミー劇場に取り憑かれたようになっています。
主役はコミー元FBI長官、トランプ陣営のロシア疑惑を捜査中に、トランプ大統領からクビにされたという渦中の人ですが、ついに明日の上院公聴会に登場します。場合によっては、トランプ大統領が「捜査妨害」に問われるかもしれない、ということで、4大ネットワークを含むメジャーなチャンネルで全米中継という、大統領の重要会見並み。まさにPolitical Theaterという名が相応しい一大政治イベントなわけですが、
それだけじゃありません。全米のバーやレストランでは朝の10時なのに「テレビ観戦パーティ」を企画、スペシャル”弾劾カクテル”とか、”FBIブレックファースト”を出す(Fはフレンチトースト、Bはベーコン、Iはアイスクリームだそう)・・・ほとんどスーパーボウルかW杯サッカー観戦のノリで盛り上がっています。
ところがその前日の今日、明日の公聴会でコミー元長官が冒頭でしゃべる予定のスピーチ原稿が一足先に正式に公開され衝撃が 走っています。というのも、これまではメディア報道、つまり第三者からのリーク情報に過ぎなかった、トランプ大統領とコミー元長官のプライベートな会話の内容が、はっきりと書かれていたからです。これがすごい、 もうこのまま映画にしたいくらい。
一体どんな会話だったのか、ほんの一部ですがお伝えします。
コミー元FBI長官のスピーチ原稿、トランプ大統領との、究極の上司と部下の会話と言っていいかも。バックにドラマチックな音楽が流れているつもりで聴いてください。
1月27日、ランチタイムに電話がきて、ホワイトハウスにディナーに招かれた。それは二人だけの夕食だった。大統領は私に、FBIにこのまま残りたいかと聞いてきた。
変だなと思った、というのも大統領にはこれまで2回同じことを聞かれて、私もその意思があることを伝えていたからだ。
しかし、二人だけで同じ質問をしてきたということは、私に「続けさせてほしい」と言わせて、
恩に着せようとしているのではないかと思い、とても不安になった。なぜならFBIは行政機関の中でも、独立した地位を保たなければならないからだ。
そこで私は「もちろん仕事は続けたい」そして「 常にあなたに真実を伝えるという意味では、信頼してもらえると思います。」
すると大統領はこういった。「私は忠誠が必要だ。君に忠誠を求めている。」
私はすぐに答えず、気まずい静寂が流れた。
そして私はこういった。「私は常に正直であることを誓います」
すると大統領はこう答えた「正直な忠誠ということだね」
(全文英語で読みたい方はこちらから)
普通の会社なら「忠誠を誓います」でいいかもしれないけれど、政府ですからね!アメリカの法を司るFBI長官がそれを言ったら、民主主義の3権分立でなくなってしまうから、かなり厳しい状況です!
その前からコミー長官は、大統領とのプライベートな会見の直後に、必ずメモを取りっていたということなんですが、その後も ロシア疑惑の調査を手加減してほしい、そして大統領が捜査の対象になっていないことを、公の席で発表してほしいなどと繰り返し求められたということです。そしてこれらはトランプ大統領の言い分と全く矛盾しています。
ただ一点、トランプ大統領が「コミー長官に、自分が直接の捜査の対象にはなっていないと言われている。」という、これだけは一致しています。
さてコミー元長官がこの原稿を生で読む明日の公聴会、だからと言って、その場でトランプ大統領が追求されるようなことはないんですが、トランプ大統領がツイッターでどんな反応をするのか?も含め、コミー劇場にはまったアメリカ人には明日が待ちきれない状態です。
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