(JFN系全国ネット ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、月曜日の担当はアーティストのDさんです。)
6月13日(火)放送
アメリカ北東部は熱波が3日目、最高気温が35度を超える記録的な暑さになる予報、まだ本当に6月?というような暑さのニューヨークですが、6月恒例のエンタメの大イベントが日曜日に開催されました!トニー賞です!
トニー賞とはなんぞや?という人もいると思うので一応説明。
アカデミー賞といえば映画、グラミーといえば音楽、そしてトニー賞といえば、ブロードウェーのお芝居やミュージカルに与えられる、最高の賞。
アカデミーやグラミーと同じように、これまでの1年間に公開された最新作が対象ですが、違うのは、すでに公開された映画や、去年ヒットした曲ではなく、ほとんどが今上演中の作品に与えられる賞だということ。
そして、トニー賞にノミネートされるかどうか、賞を取るかどうかは、翌日からのチケットの売り上げにダイレクトに跳ね返ってくる。ロングラン(ブロードウェーといえばロングラン、ライオンキングやシカゴ、ウィキッドなど)作品になれるかどうかも、トニー賞次第という部分が大きい。逆に賞を取れないと、数ヶ月後には閉幕という作品もあるんです。
もちろん全米のテレビ中継を見る人にとっては、なかなかニューヨークまで見に行けない新作がどんなものかチェックできる。そしてセレブ!
今年の司会ケビン・スペイシーはじめ、ウービー・ゴールドバーグ、スカーレット・ヨハンセンなどがプレゼンターとして登場。歌って踊るケビン・スペイシーなんて、トニー賞でもなければ見られません。クリントン元大統領の仮装でかましたトランプ・ジョークも大ウケ。「いやー政治の世界もドラマがいっぱいでね、トニー賞もびっくりの意外な人が勝ったねー」これもちろんオレンジさんのことですよ。
ではどんな作品が受賞したのか、
去年はブロードウェーの歴史を塗り替える大ヒットで未だにチケットが買えない「ハミルトン」が賞をかっさらっていったのを覚えているかもしれませんが、それに比べるとちょっと地味かも。セレブが出ている作品も少ないです。
でもそこがトニー賞のいいところでもあるんです。
ベストミュージカル賞含め6部門で受賞した「Dear Evan Hansen」
この作品にブロードウェーは恋に落ちてしまっているかも。
主役は社交不安障害を持つ孤独な高校生の男の子。彼がクラスメートの自殺をきっかけに、意図せずにソーシャルメディアの人気者になり、周りの人と人とを結びつけていく・・・音楽も歌詞も素晴らしく、誰もが孤独を感じている現代人の心に響く作品。
今年はノミネート作品の中にも、人の優しさとか思いやりとか、そんなメッセージを強く持ったものが目立っている印象でした。
ベスト・リバイバル・ミュージカル賞をとったのは、ベット・ミドラー主演の「Hello Dolly!」
これはもう’ザ・ブロードウェー” 歌とダンスと華やかな衣装がいっぱいの楽しい人情ドラマ。
ベット・ミドラー自身はアカデミーもグラミーもいくつも取っている大スターですが、演技でトニー賞を受賞するのは50年前にブロードウェーに初めて立って以来初。ブロードウェーには多くのハリウッドセレブが出演していますが、有名だからといってトニー賞はなかなかもらえない。生の舞台ではごまかしがきかない、突き抜けた演技力があるかどうかが厳しく審査されます。
作品の選び方も「ブロードウェーとして社会に確かなメッセージを出していきたい」というのが強く働く。そういう中で、今年は「人種や国籍を超えた人間としての優しさ、思いやり」みたいなものが強く出たトニーだった気がします。こういう時代だからこそ、というブロードウェーの心意気を感じました。
JFN系最大36局ネット(時間帯・曜日により若干変更有)26時8分くらいから
ネット局:青森、岩手、秋田、仙台、山形、福島、群馬、栃木、東京、静岡、愛知、新潟、長野、富山、石川、福井、岐阜、三重、滋賀、大阪、神戸、山陰、岡山、広島、山口、香川、徳島、高知、愛媛、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄