(JFN系全国ネット ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、木曜日の担当はトム・リーさんです。)
6月15日(木)放送
アメリカでもあまり報道されていないのですが、昨日6月14日はトランプ大統領の71歳の誕生日でした。というのも朝早く起こったバージニアの銃撃。下院議員を含む5人が撃たれた事件のためです。
事件があったバージニア州アレキサンドリアは、ワシントンDCのすぐ隣、DCで働く人が住むベッドタウンみたいな街。ここにある野球のグラウンドで、撃たれたスカリス議員は朝、国会議員のチャリティー野球大会の練習をしていました。この野球大会は、党派を超えた友好の象徴として百年以上の伝統があるそうです。
その早朝練習の場にふらりとやってきた犯人が、突然発砲、5人が撃たれ、スカリス議員も重傷を負いました。
犯人は66歳の白人男性(ジェームズ・ホッジキンソン)で、警官に撃たれて亡くなりました。目撃者の証言によると10分くらい前に現場付近で、スカリス議員が共和党かどうか? と聞いていたそう。
つまり最初から共和党の議員を狙った犯行だった、そして彼は強力なアンチ・トランプで、つまり、左派が右派を攻撃したという図式に。トランプ政権&ワシントンの議会から始まった、右と左の極端な二極化が、お互いへの怒りから憎悪、さらに暴力に変わった犯罪、それだけアメリカが深刻に分断されているという象徴という言い方がされています。
ところがあまり知られていないのは、彼が過去に何度か暴力沙汰を起こしていたこと。普段は温厚だけれど、キレると大変な性格だったようです。また彼は数ヶ月前に職を失い、地元のシカゴから単身でヴァージニアに来て、バンに寝泊まりするというホームレスのような生活を送っていたという証言もあります。
そして、そんな彼が持っていた銃(半自動ライフル、何十発も連発して打てる)は、完璧に合法的に手に入れたもので、しかもバージニア州の銃刀法はニューヨークやワシントンDCと違ってゆるく、許可なしで堂々と持ち歩いてOK。こうなると、もうどうやっても防ぎようがない事件だったのか?
そんな暴力沙汰を起こすような人が銃が簡単に出に入れられるが悪い? 確かに。
アメリカでは銃規制論争が盛んですが、中心になっているのは政治的な左派。ところが今回の犯人が左派とみられ、右に対する犯行だったために、左の立場が弱い。そのため右派の議員から、逆にもっと銃規制を緩めるべきだという意見が出ています。つまり、ヴァージニアのようにゆるい州があるのに、厳しいワシントンに住む議員は銃を持ち歩けないのは、憲法で保障されている自衛権に反する、不公平だ、自分たちも 銃を持ち込めていたら・・・
前にもお伝えした通り、アメリカではマス・シューティングから自衛するための銃の需要、増えています。
銃規制もそうですが、政治的な意見の違いで争うのは本当に何とかしてほしい。私たち一般人でも、知らない人と政治の話をするのは怖い、という世の中になりつつあります。
それもこれも、大統領や議員から改めていただかないと・・・
今夜の野球大会は予定どおり行われ、政治の壁を超えた友好的なゲームになると思われますが、終わってしまえばまた元どおり、という悲観的な見方が多いのが現状です。
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