（JFN系全国ネット　ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、火曜日の担当はアーティストのDディーさんです。）

６月２７日（火）放送

昨日発表された世界の人々の世論調査「アメリカ好感度調査」で、トランプ大統領の就任前には、アメリカに好感を持つ人６４％だったのが、４９％まで下がってしまったことがわかりました。アメリカ発の情報がネガティブなものに偏りがちな中で、いい話もどんどんピックアップしていかなきゃと思っています。

今日紹介するのは、ヒップホップで世直ししようとしているChance The Rapper、今年のグラミーで新人賞を取ったので知っている人も多いでしょう。

いろいろな意味で型破り！まず一枚もCDを出さないでグラミー新人賞を受賞した初めてのアーティスト。ストリーミングとデジタル・ダウンロード。しかも完全インディーズ。子供から大人までに支持される今一番ホットなアーティストの一人です。

この人が今アメリカで旋風を巻き起こしている！

チャンスの出身はシカゴですが、つい先日、このシカゴの公立小学校に、１ミリオンドル約１億円を寄付すると発表して大ニュースに。

アメリカはフィランソロピー（チャリティーなど社会貢献を含む言葉）が盛んで、アーティストは何か必ずチャリティーに関わっていますが、この太っ腹には驚きました。

その理由というのが・・・

シカゴは今殺人事件が急増していて、アメリカでも最も治安が悪い大都市になっている。その最も大きな原因は貧困、そして貧困を解決するには、まず教育なんです。ところが、特に貧困地区の学校には予算が下りてこないから、先生も足りなくてまともな教育ができない。音楽やアートの授業もない。放課後のクラブ活動もできないから、行く場所のない子供達がギャングにリクルートされてしまう・・・

しかもイリノイ州知事は今年、新たに５０億円近い教育予算をカットすると発表。そこでチャンスは知事に会いに行った。ところが曖昧な答えしか返ってこない。だったら自分が出しますよ！　と１億円の寄付に踏み切ったそうなんです。財源は今やっている全米ツアーのチケットの売り上げだそうです。

それだけでなく、チャンスは自分で子供達の放課後のプログラムを立ち上げて、レコーディング技術を無料で教えたりしている。また最近ツアーのステージに、手話通訳を加えたばかり。

この動きは音楽業界にも大きな衝撃を与えて、おととい日曜日に行われたBET AWARDS （R&Bとヒップホップのグラミーみたいな権威ある賞）で、「ヒューマニタリアン・アウォード」という、社会に大きく貢献した人に与えられる賞を、２４歳にして受賞。

授賞式には元ファーストレディのミシェル・オバマさんがビデオメッセージを寄せた。実はチャンスはオバマがイリノイ州知事だった時代に、ボランティアしていたことがある。お父さんはオバマ知事のスタッフでもあったそうです。

将来は政治家？もしかして大統領？　という憶測に対しては、

「自分はあくまでアーティスト」と答え、

スピーチでは「こんな賞にふさわしいかはわからないけれど、神様自分にプレッシャーを与えてくれているのだからもっと頑張らなければと思う。」とあくまで謙虚。そして「世の中を良くするために何をすればいいのか、みんなに見せるのが僕の使命」

そしてその時のコメントで衝撃的だったのは、今全米で合法化が進んでいるマリファナについてのコメント。マリファナは合法化されれば、現在のタバコのような一大産業として莫大な利益をもたらすと期待されています。それに対して、
「マリファナを合法化して金儲けをするなら、これまでにマリファナを売って捕まった人たちを全員釈放すべき」

確かに筋が通っている！　この正義感の強さに唸りました！

Chance The Rapperのスピーチを見たい方はこちら
JFN系最大36局ネット（時間帯・曜日により若干変更有）２６時８分くらいから

ネット局：青森、岩手、秋田、仙台、山形、福島、群馬、栃木、東京、静岡、愛知、新潟、長野、富山、石川、福井、岐阜、三重、滋賀、大阪、神戸、山陰、岡山、広島、山口、香川、徳島、高知、愛媛、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄