(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています)
先週はテレビ番組の話題でしたが、今週は映画です。クリストファー・ノーランの新作「ダンケルク」
ノーラン監督といえば、バットマン「Dark Knight」3部作、渡辺謙さん主演の「インセプション」、そして「インターステラー」。いつまでも脳裏に残る、印象的な映像と入り組んだプロットで、今最も客を映画館に呼べる映画監督でもあります。
私も大好きなので、新作を見に行ったのですが、これまでSF系が多かったノーラン監督としては意外にも、第二次世界大戦での史実を基にした戦争映画です。そして戦争映画なのに、この夏のバケーションシーズンのど真ん中なのに、2週連続ナンバーワンの大ヒット中。
でも見ればなぜこれがヒットするのかわかる。やはりノーラン監督ならでは。これまで見たことのない、そして長く記憶に残りそうな戦争映画。ダンケルクを今日はレポートしたいと思います。
ダンケルクというのは、イギリス海峡に面したフランスの街です。
映画の中では、どこまでも続く遠浅の砂浜に、茶色い制服の無数の兵士が整列している。ナチスドイツが侵攻し、追い詰められた何十万人ものイギリスとフランスの兵士。もうあとは逃げる場所は海しかないのに、救出作戦の船はなかなか来ない。そこにドイツの爆撃機がやってきて、容赦なく爆弾を落とす。船がきても全員が乗れるわけではない。やっと乗り込んで陸を離れでも、爆撃され、魚雷を打ち込まれる。船は沈没してまた同じ砂浜に戻るしかない。
彼らは戦うすべもなく一方的にやられるばかり。そういう意味では戦争映画というより、もうサバイバル映画。それがノーラン監督ならではの大胆な映像で描かれる。またセリフが聞こえないくらい音が大きいのもノーラン映画の特色でもありますが、ハンス・ジマーのこれでもかという大音量の音楽と爆撃音で、見ている方も逃げ場がない。
やがてイギリスから荒海を超えて、決死の救出作戦に参加した、無数の小さなハウスボートや漁船のおかげで、このダンケルク撤退は結果的には成功し、奇跡の撤退として歴史に残ることになります。
そして映画のストーリーもただそれだけ。セリフも少なく、ドラマやヒロイズムにも浸されず、むしろ戦争とはこういうもの、と冷静に見せている。でも反戦のメッセージを出しているのかというと、それも違う。見終わった後に映像が残るだけでなく、心に何かが必ず引っかかっている。
それが何かはネタバレなので言いませんが、見終わった後に何度も頃で反芻できる、時間が経つほど味が出る、やはりノーラン監督らしい映画だと思います。
日本では9月に公開されますが、すでにアカデミー賞の声も上がっています。
ところであのパイロットはあの後どうなってしまったんだろう?
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