(JFN系全国ネット ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、月曜日の担当はマシュー・まさる・バロンさんです。)
10月9日(月)
10月9日アメリカはColumbus Day です。
1492年10月12日、コロンブスがアメリカ大陸にやってきたことを記念して、祝日になっています。
この時期ニューヨーク郊外では紅葉がきれいな時期で、この連休に、ハイキングやニューヨーク名物りんご狩りや、パンプキン狩りに出かける人も多い。ニューヨークではColumbus Dayパレードがたった今行われている。そしてColumbus Dayはイタリア系アメリカ人のお祭りでもあります。
でも今年のColumbus Dayは、いつになく政治的な匂いが。
アメリカでは20年くらい前から、コロンブスがアメリカを「発見」したのではなく、ネイティブ・アメリカンが住んでいたアメリカを「征服」したんだという見方をするようになって来ている、学校の教科書もそう書き換えられている。
実はネイティブ・アメリカンと彼らを先祖に持つアメリカ人は、500万人以上いる。アメリカは移民によりますます多様化しているので、そういう中で彼らにスポットが当たるのは当然の流れ。
ニューヨークでは、コロンブスの部分は薄まって、イタリア系移民の日になっている。ニューヨークはイタリア移民が作った街とも言えるからこれは当然。一方では、あまり政治的にならないように、大きな問題にしないように、曖昧さも残したままで、みんなでやりくりしている。
アメリカという国、特に多人種他民族が隣り合って暮しているニューヨークでは、過去には色々あったけど、これからはみんなが仲良く平和に暮らすんだという根性が座っている。
でもイタリア系が多いニューヨークは別として、Columbus Dayを祝わない州も、アメリカ50州のうち16州あるそうです。ロサンゼルスやシアトルでは、代わりに先住民の日、Indigenous People’s Dayを祝っています。
オバマ前大統領もそういうところに気を配っていて、去年のColumbus Dayにも、「重要な歴史の日だけれど、それで苦しんだ先住民がいたことを忘れてはならない」とバランスを取ろうとする努力をしていた。
では今年トランプ大統領が今年どうコメントしたかというと、
偉大な発見をしたコロンブスと、彼を先祖に持つイタリア系アメリカ人の偉業をたたえた。「その発見がヨーロッパ文明によりアメリカ大陸を変え、現在の偉大なアメリカという国を作る基盤となった。」
どちらかというと、30年前くらいの教科書の内容かも。トランプ大統領は、オバマ時代を全て否定することで当選しているので、当然といえば当然のコメント。
そんな中、特にニューヨークのセントラルパークの真ん前にあるコロンブスの巨大な銅像を「先住民虐殺と搾取の象徴」として取り壊せ!という運動をしている人たちもいます。
これは8月にバージニアで起こった白人至上主義者と反対派の衝突事件が発端です。これに関してはまたの機会に。
ほとんどの国や民族が抱えている歴史の負の遺産とどう向き合うのか?
せめてケンカしないように、平和な未来を信じて付き合っていきたいですよね。
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