(JFN系全国ネット ON THE PLANETで月〜木で放送しているNYレポートを再構成しています、火曜日の担当はアーティストのDディーさんです。)
10月17日(火)
先日テイラー・スイフトのセクハラ事件のお話しをしました。
テイラーが取材中にお尻を触られて、それを報告したら、相手に「言いがかりだ」と告訴されたので、
テイラーも逆訴訟を起こして、トータル4年越しでついに裁判で勝った。もらった賠償金はわずか1ドル。
なぜそこまでして? と聞かれて「セクハラされてもなかなか声が出せない女性たちの力になりたかった」
その裏には、特に相手が地位や名声がある白人男性の場合、彼らが正しいと見られるという現実がある。という話をしました。
あれから2ヶ月、アメリカでは大変なことが起きています。
その渦中にあるのは、地位も名声がある白人男性。
ハリウッドの映画業界を牛耳ってきた、最も有名なプロデューサーのハービー・ワインスタイン
アカデミー賞授賞式で俳優や女優がスピーチで関係者に感謝するとき、一番最初に出てくるのがこの名前。
きっかけは、10月5日に出たニューヨークタイムスのスクープ記事。それによれば彼が過去20年以上にわたって、若い女優やモデルたちにセクハラし続けていたという。それからすぐ、私も彼にセクハラされたという女性が次々と名乗り出て、その中にはアンジェリーナ・ジョリーやグウェネス・パルトロウ、アシュリー・ジャッド、ケイト・ベッケンセールなど大物も入れて30人上。これまでに何件か示談にもなっている、さらにレイプ容疑まで出てきた。
そしてそれから2週間もたたないうちに、
ハリウッドの帝王だったハービー・ワインスタインは、自分で作った会社から解雇され、ハリウッドの映画アカデミーからも追放、彼が関わった作品はもう二度とオスカーは取れないはず。
まさに映画よりすごい、世紀の大転落。こんなこと、ハリウッド以外でも聞いたことがない。
特にハリウッドの悪名高い「キャスティング・カウチ(ソファ)」要するに「僕なら君をスターにしてあげるよ」と言いながら迫ってくる、まさに映画に出てくるようなアレ。実際こういうことがある、というのは誰もが知っていたにもかかわらず、ここまで大きな問題になることはなかった。
それが今なぜ?
もちろん彼が有名だったこと、セクハラされた名乗り出た女性の数、その名声、テイラーの影響もきっとある。それ以上にアメリカでは今「モラル」の問題が大きい。
何しろ、トランプ大統領が選挙の前に、
「自分は有名だから、女性に何をしても許される」と豪語したテープが大問題になったのに、 当選した国。
自分の利益のためには、モラルを犠牲にしていいのか?という大問題に直面している。
その「モラル低下」もセクハラだけではない、 お金のために嘘をつくことや、差別、貧富の差なども含んでいる。そんな中で、映画作品を通じて世の中に 前向きなメッセージを送ろうとしているのがハリウッド。だから彼を見過ごすことはできなかったはず。これまでは大目に見られていたことが、これからはそうではなくなるかも。
リース・ウェザースプーンやジェニファー・ローレンスなど他の女優たちも、(相手はハービー・ワインスタインではないけれど)「私も経験した」と名乗り出ている。
#metooというハッシュタグで、自分の体験をポストしようという運動も起きている。これは近々一般の職場にも影響してくるはずです。アメリカという国のモラルが失墜していくことに危機感を感じた女性たち、そしてアメリカ人からの宣戦布告と言えなくもありません。
ちなみにトランプ大統領も現在、sexual misconduct 性的不品行の疑いで訴えられています。
少なくともこれを読んでいる男性の皆さん、自分の地位を利用して嫌がる女性に迫ってはいけません!
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