(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています。メインパーソナリティは桑原りささんです。)
アメリカでは1週間とは思えないほど色々なことが起きました。
先週はニューヨークであった911以降最悪のテロ事件をレポートしましたが、今度は日曜日には テキサスの教会で、26人もの人が亡くなる乱射事件。犯人は26歳の白人男性、捜査が進むにつれて、心を病んでいて暴行事件を起こして服役の経験もあったにもかかわらず、使った銃を合法的に買えてしまった、ということがわかってきて、この大きな法の抜け穴に再び大きな批判が。
一方ちょうどトランプ大統領は、日本で安倍首相と会っていたわけですが、この事件のおかげで日本のニュースの陰が薄くなりました。アジアに関して一般的なアメリカ人の関心は何と言っても北朝鮮問題、軍事問題なので、日本に対して「アメリカの武器をもっと買って武装すべき」と言ったり、韓国で突然DMZ軍事境界線に行こうとしたり、北朝鮮に対しては「我々をなめるな、我々の忍耐力を試すな」とこれまた過激な発言をしたことが報道されている。
そして今回のアジア歴訪で最も重要と考えられている中国での動き。アメリカのメディアは、「トランプ大統領は今日の習近平主席との会談で、中国の北朝鮮との経済関係を完全に断ち切るように求めると見られる」と伝えていました。
ところがそれを迎える中国側は、トランプ大統領もびっくりの大歓待ぶりで終始友好ムード、そしてトランプ大統領が習主席に「懸案事項の通商問題も北朝鮮問題に関しても、これまでの問題はあなたの前任者の責任」「これからはちゃんとうまくいくでしょう」
それに対し中国側も「北朝鮮の非核化は必要、国連の方針に従う、力を合わせていきましょう 」となってその場は丸く収まった、だからと言って、中国側が新たに具体的な方策を示したわけではなく、問題自体はそう簡単に解決しないだろうというのが論調です。
一方アメリカに話を戻すと、今日は実はアンチ・トランプ派にとっては初めての勝利の日でもある。
実は昨日はアメリカはelection dayだった。(アメリカの選挙は補欠選挙以外はほとんどすべて11月の第1火曜日に行われる。)つまり、去年トランプ大統領が誕生してから丸1年。
今回は連邦議会の選挙はなかった、しかし激戦州バージニア州知事選で、トランプ派の共和党候補が落選し、民主党候補が当選。さらに州議会も民主が15議席も増やし、最後の議席は僅差で数え直し中。これで民主が勝てば与野党が逆転という歴史的な事態に。
そしてニューヨークのお隣ニュージャージー州では、やはりトランプ派の現職が落選し、民主党知事が誕生。その他の地域でも民主党候補が大賞、投票率も上がり、アンチトランプを主張するために投票したという人も多かった。
それ以外にも女性や有色人種が初当選するケースが目立った、中でも注目なのは、先ほどのヴァージニア州では、トランスジェンダーと公言した候補者が州議会議員に当選したのは史上初。しかもLGBTの権利に反対していた現職を破っての当選。同じくミネソタ州ミネアポリスの市議会に、史上初の有色人種のトランスジェンダー議員が誕生。シアトルでは史上初のレズビアンの市長が当選。
他にも初出馬、初当選が続々。トランプ当選以来、女性のマーチなどのアンチ・トランプ運動に参加した一般人が、もっと政治に参加しよう、地方選挙に出馬しようという運動をしてきた、その結果が出てきた。
参加すれば、投票すれば変えられる!と実感したのは、去年はトランプ派の人たちだった。今年はそれがほんのすこし振り戻してきたようです。
多くのメディアでは「トランピズムを否定する動きが決めた選挙」とコメントし、1年後の中間選挙を占う重要な結果として注目。
一方保守メディアでも、来年の中間選挙は、良くも悪くもトランプ大統領がキーになるのは間違いないとしています。
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