(JFNのラジオ番組Day By Dayにレポートした内容を再構成しています。メインパーソナリティは桑原りささんです。)
今年も終わりに近づいてきた・・・ この時期毎年恒例になっているのが、Time誌「Person of the Year 今年の人」今日発表されました。去年は・・・トランプ大統領でしたが誰も異論はなかったですよね。
そして今年はいったい誰になるんだろう? 最後までわからなかった。
結局ベスト3はこうなりました。3位が中国のシージンピン(習近平)主席。そして2位にトランプ大統領が入りました。
その理由は、「大統領というもののあり方、ルールを変えてしまったから」その結果、金融界から北朝鮮、マスメディアからSNSまでがトランプ大統領に釘付け、 もう目が離せない・・・確かにそうですね。
今日も突然、エルサレムをイスラエルの首都として認めると宣言、中東問題の新たな火種になりそうな予感です、また、ロシア疑惑の方では今日は息子のトランプJrが、上院の委員会から8時間という長時間にわたり、質問を受けたとのことです。本当に目が離せない。
そして2017年今年の人に選ばれたのは、Silence Breakers「 沈黙を破った人たち」!
そうです、先週もレポートした通り、今も沸騰しつづつけている、ハリウッドやメディア、アメリカ政界を巻き込んだセクハラ問題。これまで沈黙を守ってきた女性たちが、様々なリスクを乗り越えて発言を始めた。SNSの#metooというハッシュタグも話題になりました。その結果、ハリウッドのドンから有名俳優、ニュースキャスター、政治家までが、次々に解雇や辞任など社会的な制裁を受けるという、アメリカの歴史の中で、これまで起こりえなかったことが起こっている。まさに2017年を象徴する女性たちということで、ふさわしい選択だと思います。(ちなみに表紙にはテイラー・スイフトも顔を出しています)
この動きが弱まる気配どころか、さらに火に油をそそぐような事態が起きています。
来週火曜日に投票が行われる、アラバマ州の上院議員の補欠選挙。共和党候補で、トランプ大統領が支援しているロイ・ムーア候補70歳。この人に性的に乱暴されたという女性が複数名乗り出ている。彼が30代だった頃ですが、当時10代の未成年だった女性たちに対し、性的に不適切な行為をしたというんですね。これに対し本人は完全否定していますが、こんな人を上院議員にしてはいけないと全米で大論争になっているんです、ところが、アラバマ州と言うのはアメリカの中でも保守的で共和党が圧倒的に強い州、ムーア候補が優勢とみられている。
それでも女性はすべて反対票を投じるのかと思いきや、実はそうでもない。女性の有権者たちの中には、一連のセクハラに対する告発は、有名人など特権階級でやっているだけで、自分たちには関係ない。自分は耐えてきているのにと、逆に反感さえ感じている人も。また、こういう事は男性社会では昔から続いているわけで、現代のもっと深刻な課題を優先すべきじゃないか、という考え方もあるんです。
これも先週お話ししましたが、トランプ大統領にもセクハラ疑惑がある。彼が当選したというのも、こういうふうに考える女性たちがいたからとも言えますね。
この#metooムーブメントにはトランプ大統領への怒りも背景にあるという話をしましたが、タイム誌の記事ではトランプ大統領がムーブメント自体のきっかけになったとも書かれています。今年の1位と2位はこういう部分でも非常に深くつながっていることがわかります。
少なくとも今日こういう形で「Time」誌のような雑誌に載ったということは、ただスキャンダルということでも、限られた人だけの問題でもなく、時代のムーブメントでありみんなが考えなければならない、大事な問題だというメッセージにはなったはずです。これがアラバマの補欠選挙の女性票にどう影響を与えるのか? 来週火曜日の開票を待ちたいと思います。
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