(今日のラジオで話すつもりだったのですが、ニューヨークでテロ未遂が起きたためにチャンスがなくなりました。せっかく原稿を書いたのでポストしておきます。)
明日12日火曜日に投票される、アラバマの上院補欠選挙が大ニュースになっています。
投票できるのはもちろんアラバマ州民だけなのに、なぜこんなに大騒ぎになっているかというと、これがトランプ大統領への信任投票の色彩を帯びているから。
共和党候補のロイ・ムーアと、民主党候補のダグ・ジョーンズの一騎打ち。
そのロイ・ムーア候補をトランプ大統領が大プッシュしています。
しかしロイ・ムーア候補は大きなスキャンダルが影を落としている。
9人の女性が、ロイ・ムーア候補にセクハラされたり、性的に不適切な行動があったと名乗り出ている。その中の少なくとも二人が、10代の少女の頃にそれを受けたと言っていること。
折しもアメリカではセクハラスキャンダルの嵐が吹き荒れ、ハリウッドからメディアから政治家までが次々に解雇されたり辞任に追い込まれている中、ムーア候補は劣勢なのかというと逆で、優勢と言われてきました。
なぜかというと・・・アラバマ州は伝統的なRed stateで、保守の共和党が絶対的に優勢、去年の大統領選でもトランプ大統領が大勝しています。
そのトランプ大統領が大プッシュしている理由は、何が何でも上院に共和党を増やして、最終段階に差し掛かっている税制改革などを成立させたいという思惑があるんです。
それにしても、アラバマ州民はセクハラ候補が上院議員になってもいいのか? ムーア候補は疑惑を全面否定している。だから「彼を信じる」というスタンスでいる人。トランプ大統領も同じことを言っている。また、ムーア候補が掲げている政策、妊娠中絶の非合法化に同調し、同性婚などに反対している州民は、セクハラよりもこちらの方が大事と考えている人もいるはず。そして何より共和党が勝つことが重要と考える人もいる。
しかしリベラルはもちろん保守派の中にも、セクハラ疑惑をはじめ、極右で奴隷制を肯定するような人種差別的な発言を繰り返しているムーア候補を、絶対に当選させてはならないと考えている人は少なくありません。
ダグ・ジョーンズ候補はこうした保守層はもちろん、伝統的に投票率が低い黒人層やミレニアル世代と呼ばれる35歳以下の若者に最後のプッシュを行ってい流。
この層が動けばジョーンズ候補が勝つと予想されるが、騒いでいるだけで本当に投票にいくのか?懐疑的な見方もあります。
ムーア候補が勝てば、少なくとも保守州ではトランプ大統領支持が揺るがないことが証明される、負ければその逆。アンチトランプ派、リベラル派が勢いを得ることになる。
しかしもしムーア候補が勝っても、共和党&トランプ大統領は、セクハラ容疑や人種差別などに対するさらなる大批判 を受けることになり、それが若者や有色人種を中心としたアンチトランプの動きに一層のパワーをもたらすと予想されています。
さて一体どちらが勝つのか、専門家も予測するのを嫌がるほどですが、いずれにせよ目が離せない選挙であることは間違いありません。