アメリカでは先週また学校銃撃事件が起こり、17人が亡くなってしまいました。
これまでこうした銃撃事件が起こるたびに、叫ばれるのが銃規制でしたが、未だ何の変化も起こっていません。
以前もお伝えしたように、アメリカ人の6割はもっと厳しい銃規制を望んでいます。しかし憲法で自衛権というのが保障されているため、自衛のために銃を持つことを制限するのがとても難しい。
ところが今回はそれが変わるかもしれません。そして、そのきっかけもトランプ大統領と言っていいかもしれません。
事件を受けて、今回もトランプ大統領は 「銃」「銃規制」という言葉を一言も発しませんでした。これはアメリカ人なら誰でも知っていることですが、トランプ大統領の支持母体でもある NRA全米ライフル協会は、非常にパワフルな銃擁護団体です。
そして大統領は代わりに、これまでと同様「心を病んでいる人たちに対する対策」を呼びかけました。(今回の犯人もうつ病だったと言われている)
これに対し事件の舞台になった高校の生徒たちを中心に大きな怒りが巻き起こっています。これからももっと多くの子供達が犠牲になるであろう銃の法律を変えるべきと、週末フロリダでは彼らを中心に銃規制を呼びかける抗議行動が行われました。ところがそれに対し、トランプ大統領は再び火に油をそそぐツイート。
「犯人は以前から赤信号を発していたのに、それを止めれられなかったのは、FBI(連邦捜査局)の責任である。なぜかというとFBIは、ありもしないロシアとトランプ政権との2016年の選挙における共謀の捜査に忙しかったからだ。繰り返すが共謀はなかった。」
と、銃撃とロシア疑惑を結びつけて、 諜報機関を非難し自らを擁護しました。銃撃を利用し、自分を有利に見せようという政治的な発言に対し「犠牲者の葬儀もこれからなのに、なんという無神経で心ない発言」と、政権与党である共和党議員をはじめ、多くのアメリカ人がショックと怒りを隠せない状況です。
フロリダの高校生たちは今後毎週末の抗議行動に加え、3月14日にはNational Walk Out Day 全米の高校生のストライキ、さらに、24日にはワシントンDCでの大規模な銃規制デモを呼びかけていて、全米から多くのアメリカ人が参加することになりそうです。これをきっかけにアメリカが銃規制に大きく動きだす可能性も出てきています。
セクハラと戦う#metoo も、元はといえばセクハラを肯定するトランプ大統領が選出されてしまったことに対する怒りから始まっていますから、#metooムーブメントやWomen’s Marchのようなムーブメントにできるかどうかに大きな関心が集まっているのです。
こうした世論の沸騰を受けて、トランプ大統領に多額の寄付をしている支持者が、大統領に対して「対応しなければ寄付を止める」という圧力をかけたという情報もあります。そのために今朝ホワイトハウスでは、「トランプ大統領は銃購入に際しての身元調査の強化に前向き」という発表をしましたが、具体的にどうするかははっきりしていません。
ラスベガス銃撃の直後にも、「順を連射できる装置を禁止する法案を検討する」という発表をしたが、何も起こっていないのが現状です。
今後全米で銃規制への世論がどれほど盛り上がり、今年11月の中間選挙の重要課題に持っていくことで、政治家にどれだけ圧力をかけられるかも鍵になりそうです。