4-23-18
ポルノ女優との不倫問題で、ロシア疑惑にも繋がるお金の流れを握られそうなトランプ大統領、どうやらかなり追い込まれているという話をしましたが、それが一発逆転できる、 それどころかノーベル平和賞もののチャンス?というのが北朝鮮情勢です。
それにしてもこの北朝鮮情勢、展開が早すぎて、ジャーナリストも一般人もついて行くのに必死。私は朝鮮半島問題の専門家ではありませんから、アメリカのメディア報道を元にいったい今どうなっているのか、できるだけわかりやすい解説にトライします。
まずトランプ大統領キムジョンウンに対し去年から非常に好戦的な態度だったのが、韓国の特使がワシントンを訪れた際に急に「直接会談する」と言い出して世界がひっくり返った。でも具体的にどうするという話はまだ出ていなかったのが先週急に、政権の高官がお忍びで平壌まで行ってキムジョンウンに会ったことが発表され、会談の具体性がぐっと高まったが、まだいつどこでというのはわからない。(5月下旬〜6月?)
トランプ大統領も「結果が出そうもなければ会談しない」とツイート。
ところがそれに対しここにきて、北朝鮮が突然歩み寄る態度を見せ始めた。
トランプ大統領の目標、というかアメリカが長年求めてきたのは核の放棄。それに対し北朝鮮は常に、韓国に駐留する米軍の撤退を求めていたのが今回は、もう米軍は撤退しなくていいと言い出した。しかもそれにたたみかけるように、核実験も長距離ミサイルの実験もやめる。地下核実験場を閉鎖すると発表。本当に核を放棄するんじゃないかと思わせんばかりのレトリック。
だから、これまでのかなり厳しい経済制裁の効果が出たのではないかと、トランプ大統領もツイッターで絶賛して騒いでいますが、実は世論はかなり冷静です。
一見ものすごくアメリカが有利に見える外交カードを切ってきているだけで、「トランプに勝ったと思わせて、なんとかして会談に持ち込む手段では」という論調も強いです。
そう考えられる理由(1)
厳しい経済制裁下で、ここまでしてようやく手に入れた核を簡単に手放すわけがない。核を持たない国の独裁政権は、イラクもリビアも潰されているという前例がある。
理由(2)
核ミサイルを全て廃棄するとは言っていない。実験をやめるというのは、すでに技術が完成されていて、もう実験しなくていいから?
理由(3)
これまでも北朝鮮との交渉では散々裏切られてきているのは国民は皆知っている。そして今回の会談は北朝鮮の一人勝ちになる可能性が。なぜかというと、アメリカが(トランプ大統領が)首脳会談しましょうと言っている。これだけでものすごい歩み寄り。なぜならこれまで北朝鮮のリーダーと直接会ったアメリカ大統領は1人もいない。そして、会ってしまうと北朝鮮を「ちゃんとした国」として認めることになるから。さらに北朝鮮が「核の放棄、とか実験はしません」という言葉を使うこと自体、北朝鮮が核を持っていることを前提にして言っているので、下手すると「核保有国」と認められることになる。それは北朝鮮への何よりのプレゼント。(今核保有国として国際社会で認められているのは、アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、そしてNATOの加盟国が共有。認められていないけれど持っているのがインドとパキスタン)
もう一つのリスクは、首脳会談してみたけれどうまくいかなければ、もうその先はない・・・
また今回の問題は中国も日本も完全に置いていかれていること。下手すると、経済制裁を緩める代わりにアメリカに届く核ミサイルの開発はやめる、みたいな、他の国は誰も得しないアメリカファーストな結果になる可能性もあるという意地悪な見方も。そうネガティブに見られる理由の一つは、サバイバルをかけて綿密に計算しているキムジョンウンに比べ、トランプ大統領が政治も外交も経験ゼロなのに自分1人で進めるという態度だから。
次の動きは今週金曜日の南北首脳会談に注目です。