5-21-2018
「いつかウチの高校でも起こると思っていた、いつも怖かった。」
金曜日に起こったテキサスの高校での銃撃事件で、生き残った女子生徒の一人の言葉です。「生き残った」という言葉を使ったのは、事態がそれだけ切迫し、10代のスクールライフに暗い影を落としているからです。
テキサス、サンタフェ・ハイスクールで起こった重激事件、犯人は在校生の Dimitrios Pagourtzis, 17歳。犠牲になったのは8人の生徒と2人の教師、13人が負傷、一人は今も重体。
犯人は拘束されたため、これから少しずつ動機などの詳細が明らかになっていくと思いますが、生徒たちの証言では、犯人は「次はお前の番だ」と言いながら、1人ずつ撃って行った、しかし、彼と仲が良かった生徒は撃たなかった。また殺された女子生徒のお母さんによれば、犯人に交際を申し込まれて断ったことがある・・・
また彼の日記から、過去の高校での銃撃事件を研究して綿密に計画を立てていたという報道も。
しかし何よりも衝撃だったのは、事件当日の生徒のインタビュー、「いつかウチの高校でも起こると思っていた、いつも怖かった。」
2月にフロリダの高校で起った銃撃を何度か取り上げて来ていますが、CNNによれば今年になって学校での銃撃事件が22回も起きている。(他のメディアでもおよそ20回という言い方をしている)
またワシントンポストによれば、今年これまで学校での銃撃に亡くなった人の数はアメリカ軍の兵士が亡くなった数よりも多い。
これは去年まではありえなかったこと。銃撃事件の数も犠牲者の数も毎年増え続けていますが、今年は突出しています。
いったいなぜ?どうすれば事件を防げる?という疑問への答えは、銃に対する考え方によって真逆と言っていいほど違います。
フロリダの事件の後、全米の高校生たちを中心にもっと厳しい銃規制を叫ぶ運動が高まっている。
しかしテキサスはアメリカでも自衛のための銃を持つ権利を重んじる州だから、逆に学校を武装する方向に進んでいました。
この学校では武装した警官2人が 校内をパトロールしていました。そのうち1人は撃たれて重態が続いている警官です。そして先生や学校のスタッフが武装することも去年の秋認めらましたが、実際にはまだ武装していなかったそうです。そして2月には 間違った警報が出て学校全体が避難する事象が起こり、それがきっかけで優秀な避難プログラムに州から賞までもらっていました。
しかし事件は本当に起こってしまいました。
さらに、犯人が使った2丁の銃38 caliber pistol and Remington shotgunは、テキサスでは普通の家庭に普通にある銃、彼の父親が所有していたものと伝えられています。
つまり今規制が叫ばれている内容:犯罪者や心を病んでいる人が銃を買えないようにしたり、フロリダで使われたようなミリタリースタイルの半自動小銃の販売を禁止するだけで十分なのか?という疑問も出てきています。
トランプ大統領はお悔やみと共に生徒を守るためにあらゆる手を打つと語りましたが、銃規制という意味では国としての動きは今のところありません。その理由は2月のフロリダの事件を受けたポストに書いています。また3月に全米で行われた銃規制推進デモについてはこちら。アメリカの銃規制に興味がある方ぜひお読みください。
これからアメリカは卒業シーズンに突入し、卒業式や関連イベントも増えてくる。何も起こらないことを祈ります。
JFN 全国ネットのOn The Planet 5/21にレポートした内容を再構成したものです。
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https://park.gsj.mobi/program/show/27335