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新学期まではまだ少し時間がありますが、アメリカの親と子供達は既に新学期の準備で忙しい毎日です。アメリカでは9月が新入学、新学年シーズンだから、新しい服やバックパックや文房具を買うのは今の時期。
そんな中で既に新学期が始まった学校もあります。
オハイオ州のアクロンという街に、新しく誕生した公立の小学校、「I Promise School」
開校した時、全米で大ニュースになりました。
その理由は、公立の学校なのにあるセレブリティが億単位のお金を寄付しているから。
バスケのNBAのスーパースターで、チャンピオン3回MVP4回、史上最高のプレイヤーとして愛されレスペクトされているLeBron Jamesです。
推定資産総額は$440 million (490億円)というお金の使い道として選んだのが、彼の生まれ故郷、アクロンにある学校だったんです。
LeBronは今年の春まで同じオハイオ州にあるクリーブランド・キャバリエズに所属していましたが、今年からロサンゼルス・レイカーズに移籍。地元への最後のプレゼントとして、学校を作ったと言われています。
そしてこの学校、普通の公立とはかなり違います。
まず授業の時間が長く朝の9時から5時まで、朝食、ランチ、おやつも出ます(無料)さらに生徒一人一人に専用の自転車が支給され(無料)卒業後は地元の公立大学の授業料も免除されます。でも、お受験のための学校ではありません。
アクロンという街は住民の4分の1が貧困ライン以下で暮らしている街です。この学校は、貧困で満足に食事が取れない生徒、放課後や夏休みに行き場のない生徒のために、できるだけ長いこと学校を開けて、彼らにきちんとした教育を受けてもらおうという、初めての試みなのです。
だからここに入れるのも、そういう生徒たち。さらに、失業した親のために就職を斡旋するサービスまで。
アクロンで生まれ育ったLeBron自身も、小学生の頃お母さんと一緒に、親戚や知人の家を渡り歩くホームレスのような生活で、勉強どころではなかったといいます。でも小学校の4年生の頃に出会ったある大人が彼を導いてくれて、そのおかげでバスケットがプレイできるようになったそうです。(その人がいなかったら今のLeBronはいなかったかも)
自分が受けた恩を地元に返したい、ということで今回の開校にこぎつけました。
今は2学年だけですが、今後は1年生から高校3年までの一環教育の学校として、大きくしていく予定、その間もLeBronはずっとサポートしていくつもりだそうです。
入学式の模様をテレビで見ましたが、生徒たちは肌の色も様々で、多様化していくアメリカの一面を見た気がしました。
同時に高度に二極化し貧困が進むアメリカでは、多くの公立学校は忘れられた存在で、特に地方では先生の給与が安すぎてアルバイトしなければやっていけなかったり、備品の予算もなく、音楽や体育の授業も廃止されていくという現状があります。
だからこそLeBronは私立やチャータースクールではなく、あえて公立を選んだ。彼にインスパイアされて、真剣に公立学校を再生してほしいという願いも込められていると思います。
これまでやった仕事の中で最も手応えがあったと語るLeBron。何でもお金が先行する今の世の中で、彼こそ本当のチャンピオンだと思います。
(追記)
実はこの学校が開校した時、CNNのドン・レモンのインタビューでルブロン(二人ともアフリカン・メリカン)が「トランプ大統領は私たちを分断している」と一言コメントしたために、トランプ大統領がまたまた過剰反応し「ドン・レモンのおかげでルブロンが賢く見えた、なかなかできることではない」とツイートし大炎上。「人種差別ツイート!」と実際の学校の話題よりこちらのニュースの方が大きくなってしまった、ひどい。