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優れたドラマやテレビ番組に与えられるエミー賞が、昨日の夜ロサンゼルスで行われ全米に中継されました。かなり不思議な、ある意味異様なショーでした。
結果から言うとベストドラマは日本でも大人気「Game of Thrones」が3 回目の受賞。
でも受賞結果だけではわからない部分に、ある意味アメリカの「たった今」が満載だったりするのでそれをお伝えします。
<エミー賞70周年にして、Netflix がノミネートを席巻>
Netflixといえば「House of Cards」が有名ですが、ここ数年は、Netflix、アマゾン、Hulu、youtubeなど配信サービスでもオリジナルドラマを続々制作、エミーにもどんどん食い込んできて、キー局の影は薄くなりつつあります。そして今年初めて、Netflixの制作番組のトータルのノミネートの数(112)が、どのテレビ局よりも多かったことで、業界に衝撃を与えました。
ベストドラマのノミネートを見ると、コメディとシリアスドラマ合わせて13作品のうち、メジャーネットワークの制作は2作品のみ。HBO(キー局ではなくケーブルのプレミアムチャンネル)が5作品(Game of Thronesがベストドラマ受賞)、Netflix4作品、Huluとアマゾン1作品ずつですが、ベストコメディドラマで受賞したのは、アマゾンのThe Marvelous, Mrs. Maisel.
そしてトータル受賞の数は、NetflixとHBOが最多の23個ずつで並びました。
映像メディアの形が確実に変わっているのを象徴するエミー賞だったと言えるでしょう。
詳しい受賞結果はこちら
<やりすぎ?政治や社会を皮肉るジョーク全編に満載>
こうしたジョーク、アメリカのアウォードショーにはつきものなんですが、司会の2人が、キツイ政治ジョークやスキットで知られるバラエティショーSNL(Saturday Night Live:アレック・ボールドウィンのトランプ大統領役で有名)の出演者だったこともある。というか今年のエミー賞NBCで放送されたからか、出てくるのも全編SNLの出演者だらけ。というか全編SNLとエミー授賞式が合体したような雰囲気で、政治ジョークの乱れ打ち。エミー賞ってグラミーやオスカーやトニー賞のような派手なパフォーマンスがないからどうしても全体に地味になる。それをショーアップしようといういう苦肉の策だったのか?・・・まあそれは置いといて。
いきなり冒頭から、テレビ業界を皮肉るコメディ・スキットでスタート。映画もテレビも含めハリウッドは常に「白すぎる」という批判を受けています。だから、視聴者の現実に合うようにもっと色々な肌の色の人が活躍できるように、業界の体質を変えなければならないと叫ばれているわけです。
で、このコメディスキットでは、
「テレビの世界は多様化に成功したんだ、問題解決だー」と歌いながら始まる。
でも「アジア人キャストの番組はたった一つ、売れてる黒人プロデューサーも1人」
さらに#me tooにも話が及んで、「#me tooで姿を消した男たちも何年後かには戻ってくるだろう。」
それじゃ全然ダメじゃないか、いや努力はしてるんです、というオチがつく。
こういうのをSNLのキャストはじめジョン・レジェンドやルポールやリッキー・マーティンなんかが歌って踊りながらやる。
では実際に受賞結果はどうだったかというと、例えば ベスト女優にノミネートされたSandra Oh(「グレイの解剖学」で有名)アジア人の俳優がノミネートされるのは男女共に史上初だった。でも受賞はできなかった。
蓋を開けてみるとやはり冒頭のコメディスキットの通りに?という感じの受賞結果になった印象。
<エミーのステージを受賞者が私物化 >
バラエティ部門のベストディレクターに選ばれたGlenn Weissがいきなりステージ上からガールフレンドにプロポーズ。
結局これが一番盛り上がってニュースのトップになるというあたり、なかなか一筋縄では行かない、みんなが一緒に盛り上がるのは難しい時代なんだなという印象が強かった、やはりちょっと異様なエミー賞でした。