怒りのリップスティックは中間選挙を動かせるか?:カヴァノー最高裁判事決定

10/06/18

最高裁にまでやって来た#metoo。トランプ大統領と共和党が最高裁判事に押すブレット・カヴァノー 氏にレイプ未遂疑惑が浮上し、それからの大論争の経緯をずっとお伝えして来ましたが、10/6土曜日午後カヴァノー指名が決定しました。

当時高校生だったカヴァノー氏にレイプされかけたという女性本人が公聴会で証言もして、それを2000万人のアメリカ人が見て、これだけ大騒ぎして一体なぜあっけなくこう言う結末になるんだろう? 素朴な疑問だと思います。

一言で言ってこれが政治、そして今のアメリカの民主主義というものです。

え〜っ!?と憤慨した方も多いと思いますが、まあこの話を聞いてください。

公聴会ではクリスティン・フォード教授が嘘を言っているとは思えなかった。でもカヴァノー氏も怒りと涙で否定。どちらかが嘘をついているのか、それとも被害者の人違いなのか?それを証明するためにFBIが再調査に乗り出すことになりました。

そして予定よりも早く5日間で捜査は終了し、上院議員が密室でその結果を閲覧しました。その結果、カヴァノー氏の指名が決定。

知っておいて欲しいのは、彼の指名を決める上院議員の票の別れかたです。
上院の定員は100名、そのうち51人が共和党(トランプ大統領)49人が民主党です。

そして今日の投票で、カヴァノー氏の指名は50対48で決定しました。
共和党の中にも賛成1名、民主党にも反対1名いましたが、ほぼパーティラインで票が別れたことになります。(2人が欠席)

共和党の上院議員は、FBIの捜査結果ではカヴァノー氏に疑わしい部分は見つからなかったと言っています。結果は公表されていないのでわかりませんが、まあそうだったのでしょう。

それに対し民主党は、FBIの捜査は不十分。その証拠に当事者であるカヴァノー氏と、フォード教授からも事情聴取をしていない。最初からトランプ大統領によってコントロールされていたから、と攻撃。これも、まあそうだったんでしょうね。大統領のパワーで自分の指名候補に不利にならない方向に持っていく・・・これは犯罪捜査ではなく、あくまで身元調査だからということで押し切れた訳です。

そういうことで、たとえ二票差であっても、民主主義の多数派の勝利でカヴァノー氏の指名は確定しました。

しかし世論が納得しているかというと、そうではない。
過半数の52%がカヴァノー氏の指名に反対し、賛成40%を大きく上回っています。

これじゃ民主主義の法ってないんじゃないか? いや民主主義なんです。
なぜかというと、上院議員を選出したのは選挙です。
その結果、今上院も下院も共和党の方が多くなっている。
でも実はアメリカの有権者の数(有権者登録をしている人)は民主党支持者の方が多いのです。

一体どうなっているのか? もう理由はお分かりですね、多くの民主党支持者が投票しなかったのです。

結局ですね、民主主義というのは皆が参加(投票)しないとちゃんと機能しないという象徴的な出来事だったと思います。

2016年の大統領選ではヒラリーに幻滅した若い世代が投票しなかったためにトランプが勝ちました。それでも結果的に得票数ではヒラリーが300万票多かった。これは明らかに民主主義の歪みですけど、これも直そうと思ったら、それを上回る投票で多数派(共和党&トランプ)に勝たないと、変えることはできません。

そして実は今回のカヴァノー氏の最高裁判事指名は、女性や若者にとって最もインパクトを与える結果になると考えられています。

もちろん#metoo論争の中で、女性が男性主導のポリティクスに完敗したという意味も含めてですが、カヴァノー氏が女性の権利をちゃんと考えてくれるのかという疑問が大きいのです。というのも彼のこれまでの発言から、女性の妊娠中絶を違法にするという意思があるのではないかと疑問視されている。もう一つ大統領の権限の拡大解釈するのではないかとも疑われています。

その危機感を強めているのが、カヴァノー氏が相当右寄りの保守系判事だという事です。
彼の指名で、最高裁判事9人のうち、5人が保守、4人がリベラルとなりました。これまで長い事4人保守、4人リベラル、1人が中道で浮動票という状態だったのが、今後は完全に保守主導になる。3権分立であるはずの3つ大統領府も議会も司法も全部保守という現代の状況は、民主主義の根幹を揺るがすものではという危機感があるのです。

トランプ当選以来、特にリベラル女性たちの怒りは続いています。言い換えると#metooムーブメントもそこからスタートしたと言って間違いありません。その影響は政治だけでなく、ファッションやエンタメなどにも及んでいて、女性たちの意識は確実に高まっています。

例えばカヴァノー怒る女性たちが出したリップスティックがちょっとした話題になりました。Lipslutという新しいコスメブランド。これまでにもF*ck Trumpというリップスティックを出していましたが、このほどF*ck Kavanaghをローンチ。秋らしいディープでマットな、怒りに燃えたレッド?売り上げの100%は性的暴力の犠牲者を救済するNPOに寄付されます。

こういうものを売り出して話題になるアメリカは、素晴らしい言論の自由の国です。その自由を守るために、真っ赤なリップの女性たちが大挙して投票に行くシーンが見られるかもしれません。

実はそのチャンスは実はすぐやって来ます。ちょうど1ヶ月後の11月6日にやってくる中間選挙です。
ここでは下院435議席が改選、上院も任期満了分が改選、さらに全米の多くの州では知事選と州議会議員選挙も行われます。今回の判事指名で燃え上がった怒りを結集し、アンチトランプ派がここで本気を出して民主党候補に投票すれば、民主党が過半数を取り戻し、トランプ弾劾、カヴァノー弾劾という可能性だってあるんです。

でもその逆、同じようにカヴァノー指名で勢いづいた共和党が勝った場合は、これまで以上にアメリカは右傾化し、トランプ大統領のパワーがますます強まるという事になります。

 

 

 

 

 

 

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