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この１週間でアメリカのムードはガラリと変わってしまいました。３つの恐ろしい事件が立て続けに起きたからです。

まず先週月曜日、民主党サポーターとして知られるジョージ・ソロスの家で爆発物が発見されたのを皮切りに、オバマ大統領、クリントン夫妻、ロバート・デニーロ、CNNオフィス、元CIA長官、上下院議員など、１３人に対して合計１４個の爆発物が郵送されました。

幸い爆発はしなかったが、全員がトランプ大統領を批判する有名人ばかり。要人暗殺未遂と報道したメディアもあったほどです。

一体次はどこで誰が？という不安が数日続いた後、金曜日に容疑者逮捕。フロリダ在住Cesar Sayoc（５６歳） 熱烈なトランプ・サポーターだった事から、MAGA(Make America Great Again) Bomber というニックネームまでつきました。

犯人逮捕でホッとしたのもつかの間、翌土曜日の朝ピッツバーグのシナゴーグ（ユダヤ教の教会）で銃撃、礼拝中だった１１人が殺される事件が。

犯人はRob Bowers（４６歳）事件の直前に白人至上主義者のSNSにこう書き込み、
「 ユダヤ人を一掃しなければアメリカはグレイトにはならない。俺がやる。」

明らかに、反ユダヤの白人至上主義者です。

さらに実は水曜日にも、ケンタッキー州で白人の容疑者が、スーパーマーケットで黒人2人を射殺。もともと近所の黒人教会を狙っていたが、鍵がかかって入れなかったので、スーパーマーケットでの犯行に及んだという。

この一連の事件のうち、２つの銃撃は明らかに人種が絡んだヘイトクライムです。
でもこれらが中間選挙と全く関係ないと言い切れる人はいないはず。
ヒートアップする選挙、選挙登録する人も、期日前投票も記録的な数で、
その焦点は、トランプ派共和党が勝つか、アンチの民主 か、その激しい戦いが
エスカレートしているとお伝えしてきましたが、ついにここまで・・・

まず爆発物送付の犯人はトランプの政治集会のリピーター。
爆発物を送られたのは、トランプ大統領が名指しで激しく攻撃していた有名人ばかり。

また銃撃の方ももトランプ大統領のレトリックとは無関係でないと指摘される理由は、

まず第一にトランプ大統領はこれまで白人至上主義者を強く否定していないことで、
これは歴代大統領としてはあり得ない。

一方で、政敵を始め移民や有色人種、LGBTQを強く攻撃したり全面否定することが、異質なものへの恐れや憎悪につながった結果と考えられるからです。

こうした批判の根拠として、トランプ氏が当選した２０１６年から去年にかけて、ユダヤ人や黒人などの有色人種をターゲットにしたヘイトクライムは、１.５倍に増えているという数字も。

土曜日にピッツバーグで行われた追悼集会では、複数の宗教の指導者のもとで 、数千人の市民が集まって犠牲者を追悼しました。

肌の色や宗教が違っても命を尊ぶ気持ちは同じ。
違いで憎み合うのではなく、共通点を見出すことで何とかうまくやっていこうと、皆が一生懸命努力してやってきているのがアメリカだったのに・・・。

そういう意味で多くのアメリカ人は今後に非常な危機感を感じている。

この１連の事件を受けて、８日後の投票が一体どういう結果になるのか。
多人種多民族国家という意味でアメリカは今のグローバル化した世界の縮図でもある。
この選挙結果が世界中に影響するのは間違いありません。

ところでトランプ大統領へのこの事件への対応を見ると、彼が感じている危機感もわかる。

爆発物送付に関しては、アンチトランプ要人の暗殺未遂と言ってもいいにもかかわらず、「騒ぎすぎ」「共和党の投票意欲に影響されてはいけない」

銃撃に関しては、「卑劣な犯罪、でも教会も武装すべきだった」また、被害者へのお悔やみも同情も出していない一方で、事件の数時間前に予定されていた選挙のための政治集会をキャンセルすると言いつつ、結局予定通り開催しました。

なんとか事件を矮小化して、共和党にダメージが来ないように計らおうとしていると言われても仕方ないと思います。

一方、中間選挙前の１週間位は、ニューヨークでは大イベントが相次いで行われます。明後日のHalloween, NYCマラソン。これ以上事件が起こらない事を祈るしかないという気持ちです。