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先週、トランプ大統領はロシア疑惑の報道を減らすためにも一石4鳥の中国カードを使っているという話をしましたが、
今度はもっとすごいカードを何枚も切ってきてロシア疑惑報道は完全に吹っ飛びました。さあこれが日本にどう影響するのか?
まず、クリスマス直前の22日土曜日午前0時、政府閉鎖がスタート。
政府閉鎖というのは、予算が成立しないから政府機関を一部閉鎖する、というもの。今回の政府閉鎖は全体の4分の1程度で、大勢にはそれほど影響ないとはいえ、問題は政府閉鎖になった理由。実は既にこれを回避するための臨時の予算が与野党で成立、あとはトランプ大統領がサインするだけだった。ところが大統領は突然「国境の壁の予算が入ってないじゃないか、入れなきゃサインしない」と言い出した。
ところが議会はもうクリスマス休暇でみんな地元に戻り始めていて人がいない。そのためこの政府閉鎖は一体いつ収束するのかめどが立たないまま年を越してしまうかもしれない。
そしてもっとシリアスで、日本も無関係でないのはこちら。
トランプ氏が突然「シリアからアメリカ軍を撤退させる。」とツイートして大混乱。実はこれ、軍事を司るマチス国防長官にも相談せず勝手にツイッターしたらしい。
おかげでホワイトハウスも国防総省もツイッター直後は状況を把握しておらず、メディアは両方をたらい回しにされる羽目に。
そして、そのためマチス国防長官が怒って、トランプ大統領にいきなり辞表を突きつけた。
なぜ怒ったのか? 彼の辞表の内容をかいつまんでお伝えすると、
「安全保障が非常に難しい時代、シリアやアフガニスタンへの派兵は同盟国との連携でやっているのに、アメリカだけ勝手に離脱するのは同盟国への大変な裏切り。中国やロシアが覇権を伸ばしてきている中で、ヨーロッパや日本など同盟国との関係強化が非常に重要、逆に同盟が弱まれば、中国やロシアが有利になる」と警告、
実際ロシアのプーチン大統領は堂々と公に、トランプ大統領のシリア撤退に大拍手を送ったことは報道された通り。
とにかくマチス長官はトランプ大統領への痛烈な批判と共に「大統領、あなたには自分と意を同じくする国防長官を選ぶ権利がある」とバッサリ。
これに対しトランプ大統領、なぜか時間差で怒りを覚えたようで、(当初は手紙をちゃんと読んでいなかったとも言われている。)マチス長官は2月に控えているNATOの大事な会合を終えてからやめるとしていたのを、今年いっぱいで首!と言い出した。
軍事と安全保障のプロであるのみならずトランプ氏のストッパーだったマチス長官の退場は、世界の安全保障に強烈なボディブローであり日本への影響も必至。安倍総理がトランプ大統領と仲良しだからと言って油断はできない。「アメリカはちゃんと守ってくれるんだろうか?」という当然生まれる不信感。その不信感こそが同盟を弱め、敵にパワーを持たせる最悪の状況に。
さらにリスクは安全保障問題に止まらない、もっと大きな世界の潮流に及ぶ。
というのは、中国やロシアは経済や軍事が脅威なだけでなく、現実には強権によりコントロールされている政治国家。日本やアメリカのような民主主義ではない。こうした国家が力を持つことで、他の国がそれに追随して、世界的に民主主義が弱まり独裁的な政権が増えて行くことに対し、マチス長官は強い警鐘を鳴らしている。実際フィリピン、トルコなど、強権による政権は増える傾向にあり、しかもトランプ大統領はプーチン大統領はじめこうした独裁的なリーダーが大好き。権威主義・独裁主義の台頭=民主主義の衰退。 そうなると言論の自由は弾圧され選挙だって操作されてもどうしようもない。強権により戦争を始めることもできる。
これが第二次世界大戦前の状況によく似ていると警告する人も多い。
自由がなくなってからでは遅いことを忘れてはいけないと思う。