020519
グラミーは今度の日曜日、ここでは日本のメディアではあまり伝えられなそうな見どころをお伝えします。
毎年のように豪華なパフォーマンスを期待している音楽ファンも多いと思いますが、実は今年のグラミーは去年とは大きく変わる・・・いや変わろうとしています。
何をなぜ変えようとしているのでしょうか?
その大きなヒントは、ご存知の方も多いと思いますが、今年の司会者あのAlicia Keys、自身でグラミーを15回受賞したトップアーティストの司会で大きな話題だが、実はグラミーを女性が司会するのは、グラミー61年の歴史の中でたったの5人目。
そしてノミネートの数。
主要4部門、Album of the year, Record of the year, Song of the year, New Artist of the year.
これまでノミネーションは1部門につき5組だったのが8組に急増、これはもっと多様なアーティストに、主要部門に受賞するチャンスを!という事でこうなった。多様というのは、ジャンルや性別、そして人種も含めて多様という事。
例えばAlbum of The Yearのノミネート今年は、カントリーのKacey Musgrave, Hip HopのCardi B, Drake, Post Malone, R&BのJanelle Monae, H.E.R, シンガーソングライターのBrandi Carlile、映画Black Pantherのサントラ・・・と実に多彩。
しかし思い返すと去年も同じような話をしていたような・・・Jay-ZやKendrick Lamarなどヒップホップ勢が大量ノミネート、主要な賞を取るんじゃないかと大きな話題になった。ところが新人賞以外を総なめにしたのはBruno Marsで、別に彼が悪いわけではないが期待したわりには肩透かし。
さらにSocial mediaでは#GrammysSoMaleというハッシュタグで、男ばかりのグラミーが批判された。
テレビ中継の間にソロ部門で、ステージで賞をもらった女性アーテイストが、Best New ArtistをとったAlessia Caraたった一人だったことも批判された。
実際過去7年間で、ノミネートされたうち女性が受賞したのはわずか8%。
それに対して、レコーディング・アカデミーの会長が「女性にもっと頑張ってほしい」というコメントを出したために、「そういう事じゃないだろう」という批判が。
というのは、グラミーの審査員は音楽業界のアーティストやプロデューサー、エンジニアなどだが、歴史的に言ってどうしても多いのは年配の白人男性。実際アメリカの音楽業界で、女性の比率はわずか。( プロデューサーの2%、エンジニアの3%が女性)
そうなると最終的に受賞するのは、年配白人男性にとってわかりやすく安全なアーティストばかりと、これまでも批判を浴び続けていた。
だからついに今年は審査員にもテコ入れした。既に12000人いる審査員に加え、女性と有色人種、年齢39歳以下の審査員を新たに900人スカウト。(これを主導したのは元ファーストレディ、ミシェル・オバマの首席補佐官)
こうした動きと連動し、女性のプロを育てる動きも。1つのプロジェクトに最低でも女性プロデューサーを二人参加させるというイニシアチブに、Lady Gaga, Justin Bieber, John Legend, Ariana Grandeなど200人以上が賛同。
その背景には、グラミー賞の視聴率が下降線で去年劇的に下がった事もある。アメリカ人が特に若いミレニアル世代が多様化する中、 さらに広く世界のオーディエンスにアクセスするためには、賞だけでなく業界全体の多様化が必要という動きが起こっている。
そういう意味でも今年のグラミーがどういう結果になるか注目したいところ。