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アメリカでは2019年1月1日にネット配信されたある番組が大きな話題になっています。Netflixの「Tidying Up with Marie Kondo」あの片付けコンサルタント、こんまりこと近藤麻理恵さんの番組です。
こんまりといえば、「人生がときめく片付けの魔法」が世界的なベストセラーに。アメリカでも2015年から2016年にかけてベストセラーチャートの1位に君臨。その時ニューヨークでトークイベントがありインタビューもしたんですが、とにかくすごい人気でびっくりでした。
日本にもアメリカにも片付けコンサルタントはいくらでもいる、なのになぜ彼女だけがアメリカの特にミレニアル世代のハートをつかんだのか、その理由はこの番組を見ているとよーくわかってくる。
番組スタイルとしてはアメリカによくあるパターンで、こんまりが、片付けられないアメリカ人の家に行き、片付け法を伝授する。
対象となるのは小さい子が二人いてストレス溜まりまくりのカップルから、子供達が独立して出て行った後の夫婦、夫を亡くしたばかりのワイフなど、彼らのライフストーリーも交えた演出。
まず家を訪れたこんまりが彼らのハートをぎゅっとつかむ瞬間がある。
それは彼女が「家に挨拶」する場面。床に正座して、家の住人にも「目をつぶって心の中でいいから、いつも自分たちを守ってくれている家に、これから片付けますよと言ってください」その一瞬、服やおもちゃが散らかり放題、子供が走り回る混沌とした家がしんとなり、まるでメディテーションのような雰囲気に。
それから、すべての服を出して床に積み上げるように指示、その半端ない服の数も日本人からみればびっくり。
そこで、捨てるか捨てないかの基準をアドバイス。「それを手に取った時にキュンとなるか、つまりときめくかどうか。」そして、捨てるものには一つ一つ「Thank you」と言って捨てる・・・これがまた、アメリカ人には目からウロコ。
なぜならアメリカ人にとってモノはモノ。日本人のようにすべてのモノに魂が宿るというような考え方はしない、だから人生に新しい価値観を与えられたかのような衝撃を受ける。
その結果、ただの片付けではない、モノへの感謝の気持ちを思い出す行為、そしてそれは自分の人生や家族への感謝に繋がっていく。
また、モノ以外にも自分にとって何が大切なのか判断できるようになり、 さらには片付けに集中することでメディテーション効果も・・・彼らの人生やライフスタイルも劇的に変化して行く・・・というのがこの番組のストーリーでありコンセプト。
実は、もっと感謝の気持ちを持ちたいとか、一つ一つに集中して今を大切に生きたい=マインドフルネスは、今アメリカのミレニアル世代が今一番求めているもの。日本も同じかもしれませんが、全てがスピードアップし、AIが台頭し、マルチタスクしなければ生きていけない時代ならではの価値観とも言えるけれど、こんまりメソッドはそのど真ん中に入った。
でも日本人から見ると、アメリカ人みたいに広い家に住んでいれば、片付けの心配なんかないのでは? なんて思うかもしれないが、広ければ広いほどその分モノも増えて散らかるし、それがストレスとなって心身に負担をかけている。
それに何よりミレニアル世代の家はそんなに広くない。前の世代に比べ経済力がないからもうそんなに広い家には住めないという事情も。彼ら郊外より都市に住みたい世代だから、必然的に家は狭くなる。
そして最後にこの番組の衝撃を物語るエピソード、番組がリリースされた1月1日以降、アメリカ各地のスリフトショップに持ち込まれる服や、図書館への本の寄付が急増したらしい。
Netflixの番組ページ
https://www.netflix.com/jp-en/title/80209379
シェリーめぐみディレクション、こんまりをフィーチャーした映像ピース(日本語)
https://www.fujisankei.com/video_library/trend/mariekondo.html