021519
今週は決戦ウィークです。
トランプ大統領が北朝鮮キムジョンウンとのハノイ・サミットで結果を出せるかは、2020年の再戦に大きく関わってくる。
逆にその結果いかんでは世界の安全保障にも日本の直近の未来にも深刻な影響を与えるのはご存知の通り。
ところがさらに今週、トランプ氏の運命を揺るがしかねない別のシリアスなイベントが、サミットとガチで重なってワシントンDCである。
それが、ロシア疑惑に関するこれまでで最も重要で、トランプ大統領にとって最もダメージになりそうな証人マイケル・コーエン弁護士の、議会での公聴会 。
これがサミットにどういう影響を与えるのかは後半でお話しするとして、まずは北朝鮮とのサミットがどうなりそうか?アメリカの報道からお伝えします。
トランプ大統領は先週の時点で、今回はそれほど大きな結果は出そうもないことを見越して「 朝鮮半島の非核化は急いでない」とコメントしている。
さらに「 一時は一触即発の状態だったのが、今のところかなりの長期間にわたってミサイルのテストをしていないだけでも安全になっている」と、これだけでも自分の手柄であることを強調している。
しかしこれを批判する意見としては、「一触即発の状態を作ったのはトランプ大統領自身(それもキムジョンウンに乗せられたという意見も)テストもキムジョンウン次第でいつ始まるかわからないし、そもそもオバマ時代にはもっと長いことテストが行われなかった時期もあったから、そんなに自慢できることでもない 」
では実際にサミットに先駆けた事務レベルの交渉はどうなっているかというと、やはり大して進んではいないよう。
だから最終的には、シンガポールサミットからの流れを踏襲しながら、将来の非核化に向けて次の首脳会談に持っていく、つまりこれからも対話を続けていくという方向で落とし前をつけるような段取りをしているらしい。
しかしそこで関係者が、いや世界が一番恐れているのは、少しでも結果を出したいトランプ大統領が、キムジョンウンとの1対1の会談でフライングするのではないかということ。南北の統一とか、韓国との共同演習の中止とかを、キムジョンウンからは何の譲歩ももらってないのに勝手に約束してしまうのでは?
そうなりかねない理由が、先ほども話した通り、サミットと同時に開催されるロシア疑惑に関する下院の公聴会。これはもう全国民が待っていたと言ってもいい大イベントで、登場するのはトランプ氏の長年の個人弁護士、フィクサーとしてトランプ氏のあらゆる泥をかぶってきたマイケル・コーエン氏。そこではトランプ氏のセックススキャンダル口止め疑惑から、ロシア疑惑、トランプオーガニゼーションのお金の流れまで、3日間に渡り幅広い答弁が行われると見られ、自分を最もよく知っている人物からいったいどんな話が出てくるのか、ベトナムにいてもトランプ氏は気が気ではないはず。
しかもこの公聴会、現地時間水曜日のセッションはメディア含め全国民に公開され、なんとその直後が、キムジョンウンとの1対1のミーティング。場合によっては、公聴会で受けたダメージをサミットで取り戻そうとして、想像もつかない結果になるかも?
そう考えられる根拠としては、そもそもこの時期にサミットを行う理由が、モラー特別検察官の捜査がそろそろ終結し、報告書が出ると予測されているためで、そちらから目をそらそうという思惑があったとも伝えられている。
でもここで一つ言えるのは、トランプ氏は安倍総理が推薦してくれたノーベル平和賞をどうやら本当に欲しいと思っているから、最低でも「平和」は追求するはず。(実際トランプ支持者には北朝鮮への攻撃に賛成する声も多いのだが)
しかし彼が考える平和が、世界や日本にとんでもないツケをもたらす可能性もないとは全く言えないのが怖い。