032519
2016年の大統領選に関し、トランプ氏側とロシアとの共謀があったかどうかを捜査する、いわゆるロシア疑惑捜査が終結し、発表された結果は
「トランプ陣営とロシアとの共謀を示す証拠はなかった」
トランプ大統領は「疑いの霧は晴れた」と、共和党も一緒にお祝いモード。
しかし「ちょっと待って、よく意味がわからない」と言う声もかなり強い。
ロシア疑惑があったかどうかでアメリカの世論は真っ二つになっていただけに、アメリカ人の半分は納得できずモヤモヤしている。
そのモヤモヤの最大の理由はまず、モラーレポート自体レポートを読んだ人は、バー司法長官以外にはまだ誰もいないから。モラー特別検察官の捜査は 司法省トップから特別に直々に命ぜられたものなので、報告もバー司法長官に提出される。そしてこれを誰に対し何をどれだけ公開するかは、バー司法長官の判断にかかっている。
そこでバー長官はまずものすごく長い(と思われる)レポートを、4ページのサマリーにまとめて、昨日議会宛に送った。
それが今私たちが読んでいるもので、言うなればバー司法長官による解釈とも言える。(ちなみにバー司法長官はトランプ氏が最近首をすげ替えたばかりの、かなりのトランプシンパと言っていい。)
そんなサマリーだけで、2年間も捜査して、アメリカが上へ下への大騒ぎをした後で皆が納得するわけがない、全国民に対しレポートの全てを公開すべきと言う声は、保守メディアFOXニュースの世論調査でも8割に達している。
そしてモヤモヤのもう一つの理由:このサマリーでは「トランプ陣営のロシアとの共謀はなかった(ロシアの介入自体はあったが共謀がなかったということ)と結論づけられるが、一方でトランプ大統領による司法妨害では有罪も潔白も証明できなかった」としていること。
ちなみにトランプ大統領自身はツイッターで、共謀だけでなく「司法妨害もなかったことが証明された」と宣言しているが、これは厳密にいうと間違い。
この「有罪も潔白が証明されなかった司法妨害」と言うのは、ロシア疑惑捜査を行っていたコミーFBI長官の解雇などのこと。思い出して欲しいのは、そもそもモラー検察官の捜査が始まったのも、このコミー長官の解雇が発端。何もやましいことがなければ、解雇する必要はなかったはずなのに、という論理で皆が疑いを深める原因にもなった大きな出来事。
つまり「司法妨害での潔白が証明できなかった」と言われてしまうと、じゃあ「共謀」はなかったのになぜ司法妨害したのか?やはり共謀はあったのではないか?というところに戻ってしまうので、やはりモヤモヤしてしまう。
ところで、モラー検察官によるロシア疑惑捜査は終了しても、ここから端を発した他の捜査や訴訟は続いて行く。その中には、ポルノスターへの口止め料問題、大統領就任式の資金に外国政府からの献金が入っていたのではないかなど案件が10件以上はあると言われ、今後トランプ大統領の家族に捜査の手が及ぶ可能性も言われている。ここに望みをかける人も多い。
それでも今回勝ったのはトランプ大統領。第二期トランプ政権に向けて大きな一歩になったのは間違いない。
「いやいや、選挙にはあまり影響ないでしょう、アンチトランプ派はロシア疑惑でなくポリシーや彼の道徳観を問題にしているから」という意見もあるが、それは理屈で、やはり彼がロシアと共謀して選挙に勝ったかどうかというのは感情的にとても大きいと思う。アンチトランプ派にとって、ロシア疑惑はパフェの上に乗っているチェリーのようなものだったから、そのチェリーが消えてなくなったという事に。
さらにこれからトランプ大統領は民主党とリベラルメディアに対して、やはり魔女狩りだった、嘘つきは民主党とフェイクメディアの方だったと。 大攻勢に出るはずから、それも今後の選挙戦に大きく影響するはず。
そして考えなければならないのは、この結果が示すのは、世の中にはトランプ大統領を守る力がまだまだ働いていることだと思う。