私が住むニューヨーク、マンハッタン島というのは、面積は山手線の内側くらいの土地を南北に細長く伸ばして、その上に高層ビルぎっしり、真ん中だけセントラルパークでスポンと空いている・・・そんなイメージ。これだけ密集している街の中にまた新たな街が誕生し新名所になっています。
これがかなりエンターテイニング、楽しいという評判だったので、早速行ってきました。
ハドソンヤードと呼ばれるこの街、広さ11ヘクタール(東京ドーム2.5個分)
エリア的にはマンハッタンの中心タイムズスクエアから地下鉄で一駅、東京でいうと渋谷から一駅の恵比寿あたり?いったいこれだけの土地がなぜここに?
実はハドソン川沿いにある巨大な電車の車両基地の上に、フタをして、その上に最終的に13棟もの高層ビルを建てるというアイデア。
今回はそのフェーズ1として7棟がオープンしたもの。(最高80階建て)
そもそもこの計画、ニューヨークにオリンピックを誘致しようとして、スタジアムを作る場所がない! とこのフタ大作戦が考案されたが、オリンピック誘致はロンドンに負けて頓挫。
だったらここに巨大な、新しい街を作ってしまおうということになり、総工費2兆5千億円の世界最大の民間不動産開発プロジェクトが決定。( 三井不動産も参入)
6年かけて作られたフェーズ1のビル群は、まずオフィスと高層マンション、さらにパブリック・スペース、つまり一般人が入れる場所をかなり大きく取っている。
地下鉄ハドソンヤード駅を出るとすぐにキラキラの高層ビル群ですが、いきなり目を奪われるのは、ビル群の真ん中の広大な広場のその又ど真ん中に鎮座している、この巨大な、かなり妙な茶色い物体。
高さ50メートル、たくさんの階段が組み合わさったパブリック・アートで、タイトルはVessel(船)、インドの階段井戸をイメージしたものだそうですが、エッシャーのだまし絵のようにも見える。
デザインしたにはトーマス・ヘザーウィックという、現代のダヴィンチと言われるイギリスの建築デザイナーで(ロンドン・オリンピックの聖火台で有名)これだけで200億円かかっている!
金食い虫と悪口も言われているが、これだけ個性的でインパクトがあるランドマークのおかげで、のっぺりした高層ビルの街に人間味がプラスされているのは確か。
(中にも入れて無料だが朝9時半までに整理券をゲットする必要あり)
もう一つ注目の建築は今週金曜日オープンする、やはり巨大なビジュアルアート&パフォーミング・アーツ・センターThe Shed(納屋)
16000平方メートル6階建てのスペースは、目的によってどんな形、サイズにもカスタマイズできる。
この6階建ての高さの外壁がすごい。壁の下に、直径2メートルくらいの車輪がついていて、壁が移動してインドアになったりアウトドアになったりする仕掛け。
ここを運営するのはノンプロフィット・オーガニゼーションで、新しいアーティストを育てたりデビューのチャンスもここで生まれるということで楽しみではあります。
その隣、マンハッタン最大級の7階建てのショッピングモールは、100件のショップと20件のレストラン。シャネルやディオールから、H&M、ユニクロ、MUJIなど。レストランはShake Shackもあるけれど、全体的にハイエンド。
つまり「街ができた」とはいえ、まずここに住める人はかなり限られる。というのも、マンションの価格は最低2億円から。
ここに限らず、マンハッタンの平均のマンションの値段は1億5千万くらいになって、既に庶民が住む場所がなくなりつつある。それがますますエスカレートし物価も上がる原因になるのではないかといニューヨーカーの不安も。
さらに実はこのプロジェクトには州の税金が6兆円も使われている。
そんなに税金を使って、たまに遊びには行けるけど、庶民は誰も住めない街を作ってどうするんだろ?という批判も強い。