052219
アメリカは卒業シーズン。
ニューヨークにも大学がたくさんあるので、今週はあの特徴のあるガウンと角棒の学生をあちらこちらで見かけます。特に今日22日はコロンビア大学、ニューヨーク大学という二大マンモス大学が卒業式。ニューヨーク大学の卒業式はヤンキースタジアムで開催。
ところがハッピーなはずの卒業に影を落としているのが、スチューデントローン
アメリカの学生の65%がスチューデントローンの借金を抱えて卒業。その平均はおよそ300万円。
理由は高額な授業料。
例えばニューヨーク大学の1年間の授業料は570万円、4年通ったら・・・公立大学でも年間200万円。
今の若者たち、ミレニアル世代はこのスチューデントローンの
返済のために、独立できず親と同居、車も家も買わない・・・
これが続くと将来のアメリカ経済に大きな影響が出る。また優秀な人材が経済力がないために教育を受けられない事になるなどの問題も。
その矢先にこんなニュースが話題に。
アトランタのモアハウス・カレッジ(伝統的な黒人の男子大学)の卒業式で、ゲスト・スピーカーとして招かれたビリオネア、Robert F. Smithさん。
スピーチの中で
「およそ400人の卒業生のスチューデントローンを自分が肩代わりします」
と発表。
生徒はもちろん大学側も知らされていなかったということで、会場には大きなどよめき・・・涙を流す学生や親も。
その総額、おそらく12億円と言われていますが、この人はこれに先立ちすでにモアハウスカレッジに2億円近い寄付。他にも母校のコーネル大学などに多額の寄付をしている、フィランソロピストと呼ばれるビリオネアの一人。
「スチューデントローンを肩代わりする代わりに、特に黒人の地位向上や社会のためにつくすことで返してほしい。 」とコメント。
感動的なシーンですが実はこれには批判の声も。
もし来年も同じようにビリオネアに期待するような事になると、それはおかしい。もっと大学全体やローンをやっている連邦政府が対策を講じるべきという声が。
個々の大学でも、このままだと優秀な学生が入ってこなくなるという危機感は強く、去年はニューヨーク大学の医学部が授業料の無償化に踏切り大きなニュースに。ニューヨーク州でも州立大学は、ミドルクラス以下の学生は授業料が無償。
大学無償化、スチューデントローン救済は、2020年の大統領選の大きな焦点にもなって来ている。
日本も大学の授業料が高い!と感じている方多いと思いますが、間違ってません。
これは公立大学に限ってのランキングですが、
世界で一番高いのがイギリス、2位アメリカ、
そして日本は上から3位で大学授業料年間平均60万円。
一方ドイツやフィンランド、デンマークなど無償の国も。
高額の授業料は貧富の差が開く原因にもなって行くだけに、日本でも今後の動きに注意が必要と思います。