061819
今ビルボードのHot 100で11週連続ナンバーワンになっている曲。
Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus のOld Town Road
この曲はあらゆる意味で2019年最大のヒット、知れば知るほど、世界の「たった今」が見えてくる。というお話。
まず、私も含め大人がこの曲に気づいたのは今年の3月のこと。
Lil Nas XのオリジナルのOld Town Roadが、ビルボードのカントリーチャートから外されたというのが大ニュースに。
Old Town Road はメロディーも、「馬に乗って古い街並を歩く」という超シンプルな歌詞もカントリーフレーバー。ところがビートはHip Hop (Trap) だっため、これはカントリーと言えないという事でチャートから姿を消したんですが、これが大論争になりました。果たしてOld Town Roadはヒップホップなのか、カントリーなのか? Lil Nas Xがアフリカンアメリカンということもあり、人種偏見じゃないか?
同時にこれまで誰も聞いたことがない全く新しいサウンドにアメリカ人は強烈に反応。むしろそういう論争のおかげで、一躍全米に知られるように。
そしてここに登場したのが、カントリースターのBilly Ray CyrusあのマイリーパパがLil Nas Xにアプローチし、彼のボーカルを加えたリミックスバージョンが誕生。それがビルボードチャートで11週連続ナンバーワンに。
めでたしめでたしなんですが、この曲にはもっと裏がある。
実はこの曲は4000キロも離れて住んでいるZ世代、10代の若者2人によって、偶然生み出されたものだった。
Lil Nas Xはこの曲がヒットするまでは自宅の部屋で音楽を作っていた10代の少年だった。彼は自分のラップをのせるかっこいいビートをネットで探していて、これまでに聞いたことのないようなサウンドを見つけた。それが、オランダで同じように自宅で音楽を作っていた少年が投稿したビートだった。Lil Nas Xはそのビート使ってOld Town Roadを作り、去年12月音楽シェアのサイトSound Cloudでリリース。
そしてプロモーションのためにTikTokに自分で大量のミームを作ってあげ、それを見たインフルエンサーたちが即座に反応。Old Town Roadに乗せた面白いカウボーイダンスがネット上に氾濫して大ヒットとなり・・・ビルボードのカントリーチャート騒動に繋がっていく。
そして、面白いのはビートを作ったプロデューサーYoungKioがサンプリングしたのは、オルタナロックバンドNine Inch Nailsの2008年の曲Ghosts I – IV – 34
つまりこのOld Town Roadは3組のアーティストの国境も時代を超えたコラボで、オルタナロックからヒップホップからカントリーという様々なフレーバーが凝縮。
音楽の発展自体がそもそもミーム的だし、それがネット時代の今ジャンルも国境も関係なく起こっている、たった今を象徴するのがこのOld Town Roadで、次に何が出てくるか本当に楽しみ。