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日本でも報道されたと思いますが、ISIS(イスラム国)のリーダー、アブバクル・バグダディがアメリカ軍の特殊作戦により死亡と、トランプ大統領が日曜朝の特別会見で大々的に発表しました。
このニュース みなさんどう感じられたでしょう。
これを読み解くポイント。アメリカメディアの報道から拾ってお伝えします。
(1)イスラム国リーダーの死亡で世界は安全になるのか
トランプ大統領は「世界はこれまでより安全な場所になった」
一時はシリアやイラクの広い地域を抑え、容赦ない殺戮で恐れられたイスラム国も、アメリカを含む各国軍の協力でその力はかなり弱まってはいた。今回のリーダーの死亡でとどめを刺したという考えかたもありますが、多くのメディアや専門家からは懐疑的な声も。なぜならジハード思想の信奉者は世界中に広がり、独自に爆発テロなどを計画しているから、組織があってもなくてもあまり関係ない。だから一体次にどこで勢力が台頭するか、テロが起こるかもわからない。
(2)急展開しているトランプ大統領の弾劾にどう影響するのか
先週もお伝えした通り弾劾への動きが進み始め、世論の支持も5割が賛成というところまできていた。そして先週半ばまた重要な証人が容疑を裏付ける証言、これまでで最大のダメージとされている。同時にトランプ氏が決めたシリアからの撤退が、世界の安全保障バランスを覆すと国内外から大きな批判を浴び、政治的にかなり追い込まれていた。
このタイミングでのイスラム国リーダー殺害作戦。タイミングに疑問の声もありつつ、シリア撤退では大反対していた与党共和党議員らは、作戦成功を賞賛。しかし批判も・・・本来議会に報告してからなされるべき重要な軍事作戦を、共和党のリーダー格にだけ伝えて民主党には一切伝えていない一方で、ロシア政府にはアメリカ軍が行くことを伝えて協力を仰いでいた。(目的は伝えていないと言っているが、言わなくてもわかるような内容)国内のリーダーが知らず、 アメリカにとって脅威とされる外国ロシアが知っていた。
いずれにせよ弾劾を止めるほどの影響力はなかったということで、弾劾への動きはこれからも進む予定。
(3)報復テロは?NYCマラソンの警備は?
私がニューヨーカーとして一番気になっているのはこのポイント。
アメリカのテロとの戦いは18年前の2011年の9月11日。ニューヨークを中心にで起こった同時多発テロに始まり、あれ以来そこまで大規模なテロはなかったものの、イスラム国に影響された犯人によるテロは続いている。先ほどお伝えしたように、ジハドに触発された人々がアメリカにもたくさんいます。
2013年のボストンマラソンでは 爆発物で3人が死亡。
2015&16年フロリダとカリフォルニアの銃撃で合わせて63人が死亡
2017年ニューヨークでは8人が死亡したハロウィンのトラック暴走事件、
それ以外に未然に防がれた事件もあって、あまり報道されないが毎月のように起きている。
今度の木曜はハロウィンで夜は200万人が集まる仮装パレード。日曜はNYCマラソン、5万人のランナーが走り300万人が応援。私たちニューヨーカーそして警備に当たるNYPD(NY市警)には頭の痛い1週間が始まったと言えるでしょう。