072720
(アメリカメディアの報道を元に、JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
ジョージ・フロイドの死をきっかけにブラックライブスマター運動が燃え上がってから60日が経ちました。
ニューヨークでも平日は10箇所、週末は30箇所くらいで続いています。
ほとんどが平和的な行動ですが、全米の都市の一部で暴力が発生して再びニュースになっています。
そして、その火に油を注いでいるのは、トランプ政権が各地に送っている、秘密警察だと地元の州政府や市の反発も高まっています。
なぜ秘密警察と言われるのか、
アメリカでは地元の市警なら必ずバッジをつけているし、FBIならFBI、ICE(不法移民取り締まり)ならICEと大きく胸に書いてあります。
ところが今回オレゴン州ポートランドに現れた一団は、軍隊のような制服に武器、胸にはPOLICEと書かれているだけで、どこの所属か不明。
彼らが夜帰宅しようとしている抗議運動の参加者を拘束し、覆面パトカーのような車に連れ込むビデオがバイラル化し、一体何が起きているのかと大騒ぎになりました。
数日後、国土安全保障省のウルフ長官代行が、自分たちが派遣したと明らかにしましたが、これに対し激しい批判の声が上がっています。
まず国土安全保障省は、ポートランドにある連邦政府の施設を破壊から守るためと説明しているが、オレゴン州知事にもポートランド市長にも何の通知もなく派遣し、所属も明らかにせず市民を拘束したこと。
また無抵抗の市民に対し、催涙弾を浴びせたり警棒で殴るなどして怪我をさせていること。さらに強く指摘されているのは、国土安全保障省というのは911同時多発テロの後にテロから市民を守るために作られた省庁で、現在はメキシコ国境の警備、ドラックカルテルとの戦いの最前線にいます。そんな警察隊を市民に向けて、しかも黙って発動するとは民主主義国家ではないと言う怒りが燃え上がり、 それに対し各地の抗議運動が激しさを増した結果死者も出ました。
これに対しトランプ大統領は、州や市が抗議運動を収束し、それ以外の暴力犯罪を減らすことができないなら、もっと他の都市にも警官隊を送り込むと宣言、シカゴやシアトルの市長は強く抵抗しています。
暴力が暴力を呼ぶ状況に発展しつつあり、本来の警察暴力や差別の撤廃という目的とは違う方向に進んでしまうのではという危機感も生まれています。
またこうした警官隊が送り込まれているのは民主党支持者が多い州に限られていることも政治的な意図があるという批判が大きくなっています。
実際トランプ大統領は、選挙運動のテレビコマーシャルで、Black Lives Matter運動が警察予算の削減を打ち出していることを利用し、もし警官が減ったら犯罪が起きても警察が駆けつけるまで数日かかるようになる、民主党バイデン元副大統領が当選したらこうなるというメッセージを大量に打ち、(実際にはバイデン氏は予算削減に賛成していない)民主党=暴力というイメージを作っている、市民の恐れを利用しているとの批判を浴びています。