08-17-20
(アメリカメディアの報道を元に、JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
アメリカ大統領選まであと77日。命がけの選挙になるかもしれません。
カマラ・ハリスが副大統領候補になったことで 、これまでいまいちパッとしなかったバイデン氏がエキサイティングな存在になってきたのは間違いないのと同時にトランプ氏の攻撃も激しさを増しています。この辺とても1度には話しきれないので、今夜は危機に晒されている郵便投票の話。
まずアメリカのコロナの状況、感染者540万人、死者17万人、毎日5〜7万人が感染し、
1日に1000人以上が亡くなっています。
そんな中、投票所に出かけることはコロナ感染のリスクが高まるため 、郵送での投票に切り替えようじゃないかという動きが高まり、州によって違いますがアメリカの有権者の77%が郵送投票できるようになりました。
ところがここで問題発生、大量の投票用紙が送られるのと、既に郵便事情が悪い地域もあるため、郵政公社は50州のうち46州で投票用紙が期限までに届かない可能性があると警告。
普通だったら政府がこれを何とかしようとしますよね?
ところがそれの、逆をやっているから大問題になっているのです。
新しい郵政局長官のデジョイ氏、トランプ氏に巨額の寄付をした人です。彼のリーダーシップで、予算カットを理由にアメリカ各地の郵便ポストを撤去したり、既に使われている郵便区分機を撤去、残業も禁止され、、地域によっては配達に遅れが出て、給与の支払いや処方箋薬の送付が滞っていると報道されています。
以前もお伝えした通りトランプ大統領は郵送投票は「不正の原因」と根拠のない攻撃をして、郵政投票に反対してきました。郵便投票で投票率が上がれば自分が不利になるからではないかと批判されています。
それに対しトランプ氏はインタビューで
「郵送投票には多額の金がかかる。予算が成立できなければ郵送投票はできない。」
つまり予算成立させないことで郵便投票をボイコットする意図をはっきり示すような発言をしました。
一方民主党多数の下院では夏休みを早々に切り上げて、この問題の解決に当たる、そしてデジョイ長官を証人として召喚すると言っています。これまでのやり方に不正の疑いがあるからです。
では郵送投票できないなら、最寄りの投票所へ行けばいいじゃないか。コロナ感染しないように対策すればいいじゃないかと思うかもしれません。
実はアメリカ各地ではコロナと予算カットを理由に多くの投票所が閉鎖されています。
特にここ8年間、特に南部の共和党知事の週を中心に予算カットを理由にした閉鎖はおよそ1600箇所 、そして多くがマイノリティ、ヒスパニックや黒人、低所得者が住むエリアが対象になっていると伝えられています。アメリカではマイノリティの多くは民主党指示ですから、これは明らかに投票妨害です。
郵送は届かない、投票所は遠い。コロナは怖い。
このままでは11月の選挙は大げさではなく、投票に無理して行ってコロナ感染のリスクを選ぶか、それとも民主主義の権利行使を放棄するかの二者択一になるかもしれません。
トランプ氏を支持される方、色々なご意見をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、残念ながらトランプ氏と共和党は民主主義をねじ曲げてでも勝とうとしている、なりふり構わない姿にしか見えません。
今日から民主党大会がバーチャルでスタートし、本格的な政治の季節が始まりました。
しかし、投票への懸念や政治への不信だけでも、既に投票意識をそぐ作戦は成功していると言わざるを得ないかもしれません。
8-18-20 updated
世論が沸騰し、郵政長官は今回の問題の予算カットを選挙後まで延期と発表。
しかし全ての希望者がコロナの不安とリスクを負わず、期日までに届くよう郵便投票するためには、さらなる予算が必要。その予算案の投票が下院で土曜日に行われます。