09-28-20
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
大統領選まであと36日。
ここに来てSeptember surprise!! ありえないビッグニュースが続々 。
まず先週お伝えしたように、リベラル派のスター、ルース・ベーダー・ギンズバーグ最高裁判事が87歳で亡くなり、トランプ氏が新たな保守の最高裁判事エイミー・コニー・バレット判事をかなり強引に指名。早ければ大統領選前に決定の運び。
そして昨日、ニューヨークタイムスがトランプ氏の確定申告のスクープ報道。
過去18年のうち11年は国税を全く払っていなかった事が判明。(2016・7年はたったの$750)
これらが一体大統領選にどう影響するのか?という話をしてみたいのですが、
まず今トランプ氏とバイデン氏一体どちらが優勢なのかというと、
ほとんどの世論調査ではバイデン氏が8〜10%くらいリード。(タイムスは49%バイデン、41%トランプ)
前回トランプ氏が勝った激戦州でもバイデン氏がわずかにリード。
しかしこの数字があまり当てにならないのも2016年の教訓で皆知っている。
世論調査でさえ、自分をよく見せるために本当の事を言わない人もいるらしい。
そしてこの数字、何が起きてももうあまり変わらないかもと言われている。
というのは完全に分断されているアメリカでは、ほとんどの有権者は、
何があってもトランプ、何があってもバイデン(アンチトランプ)という風に皆心を決めている。
では今起こっている、これから起こる事件やスキャンダルはどう影響するのか?
これらがどれだけ有権者をエキサイトさせて、特に激戦州でどれだけの人が実際に投票に行くかが勝敗の分かれ目になる。
というのは、結論から言ってしまうと、
全体の投票率が上がればバイデン当選、下がればトランプ当選、となるから。
そこには一筋縄では行かないアメリカの選挙制度が関係する。
アメリカの選挙人システムだと、全体の投票数で勝っても、激戦州のフロリダやペンシルベニアで勝って選挙人を獲得しないと当選できない。(ヒラリーはトランプより全体で300万票多かったのに負けた)
そして前回トランプ氏はこうした激戦州で僅差で勝った。その理由はシンプルに言うと、こうした州で共和党(トランプ)岩盤支持層の投票率が民主党支持者を上回ったから。
そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれないけれど、前から話しているように、アメリカにははっきりと投票格差があることを知らないと実態は見えてこない。
まずトランプ(共和党)支持者は年配の白人特に男性が多く、最も投票率が高い層。
一方バイデン(民主党)支持者は若者、移民、ピープル・オブ・カラー、低所得者が多い。
若者の投票率が低いのは日本も同じと思うが、移民やマイノリティは投票抑制・妨害の影響を最も受けやすく(例えばジョージア州予備選では、白人居住エリアの平均待ち時間6分、マイノリティが多いエリアは51分、さらに機械が壊れて8時間近く待った人も)
投票抑制・妨害は他にも色々あり、よほど高いモチベーションがなければ投票しない、またはできない可能性が高い。
逆にこうした層が大挙して投票し、トランプ氏の岩盤支持層を上回れば、バイデン氏が勝つ可能性が上がる。
下がればトランプ勝利。
当然投票率下げたいトランプ陣営が、郵便投票に難癖をつけているのもその方法の一つ。これからさらにどんな醜い戦いを仕掛けるのか?
特に18〜23歳のZ世代、バイデン指示がトランプ支持に38%もの差をつけている。少子化していないアメリカは若者多いですから、彼らが投票すればバイデン勝つ確率上がる。)
私の周りでもこれまで選挙に関心なかった若者たちが投票すると言い始めている。
今回トランプ氏の強引な指名で最高裁がかなり保守に寄ろうとしていることで、保守派はかなりモチベーションが上がっている。
逆にその結果、最高裁判断で現在の健康保険法が無効になり、中低所得者を中心に2千万人がコロナ禍の最中に保険を失う可能性があることで、それを防ぐために戦うことでリベラルも熱くなっている。
さらにコロナで郵便投票が増える今回は投票日に結果が出ない可能性もかなり高く、泥沼になることも予想されている。この辺の話はまた別の機会に。