10-01-20
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
まず1回目の大統領選討論会で押さえておきたいキーワード3つに絞ってお伝えします。
「90回」「プラウド・ボーイズ」そして「フレッド・ペリー」
1)90回
火曜日の1回目の大統領選討論会は、歴史始まって以来の最悪の討論会、大惨事、勝者はいない、負けたのはアメリカ国民と、ここまでメジャーなメディアが強い言葉を使って批判するのを聞いた事がない。
見てない人はニュースで「激しい論争、非難の応酬」と聞いていると思うが、実はこれも違う。もっとずっと一方的なものだった。
およそ1時間半の間に起こった反則、つまり相手の話を妨げた回数が90回。そのうち71回がトランプ発。
バイデン氏が話し始めるとトランプが覆いかぶさるように大声で意義を唱えはじめ、バイデン氏何言ってるのかわからない。個人的な侮辱や、家族への中傷に発展、モデレーターの質問でさえ妨げた。
おかげでバイデン氏が政策などをきちんと喋る時間は大幅に圧縮され、トランプ氏の衝撃的な発言ばかりが目立つことに。どうやらこれが目的で狙ってやったことという報道も。
ではその衝撃的な発言として全米が最も激しく反応したのは・・・
2)プラウドボーイズ
その発言の中で、トランプ氏が呼びかけた相手がプラウドボーイズ Proud Boysだった。
プラウド・ボーイズはボーイバンドやラップグループの名前ではない。
極左・白人至上主義者の武装グループで、ブラックライブスマター運動にも介入し、人種差別反対の抗議デモと衝突。彼ら以外にも、こうした武装グループがいくつも各地で発生して死者も出ている。
アメリカ政府は、911以降こうした白人至上主義者グループによる国内のテロは、イスラム過激派によるものの3倍起きていると発表している。
トランプ氏は、こうした白人至上主義者を否定しますか?と聞かれたが、どうしても否定しなかった。それどころかプラウドボーイズに対し、
「Proud Boys(武装グループの1つ)のみなさん、stand back & stand by.」と呼びかけた。
stand backは下がりなさい、だがstand by は待機して準備しろ」
これは彼ら、そして他の白人至上主義者に対しても、スタンバイして時期が来たら動けというメッセージと解釈されたようだ。
では一体何にスタンバイなのか?→大統領選投票日へスタンバイとしか考えられない。
というのもトランプ氏は今回の選挙は不正なものだと、根拠なく言い続けている。
だから彼らはその不正を防ぐために、特に激戦州のウィスコンシンなどの投票所に武器を持って見張りに行くと言っているそうだ。激戦州が本当に激戦地に?
そんなところに黒人や私たちマイノリティは怖くて行きたくないから、これは立派な投票妨害、下手すればハラスメントとなる。
3)フレッド・ペリー
そして最後におまけ、今回急に有名になったプラウドボーイズのユニフォームは、イギリスのデザイナー、フレッド・ペリーの黒いポロシャツ、ということが大きく報道された。
それに対し、フレッドペリーはそのポロシャツの北米での販売を1年前に停止したことを発表。つまりもう1年前からプラウドボーイズのことを知っていたことになる。
一見白人至上主義には見えないブリティッシュなポロシャツに身を包む。最近の白人至上主義者は一見そう見えないようによく考えられている。
ちなみにフレッド・ペリーの親会社は日本の企業。日本人にも全く関係がないという訳ではない。