10-08-20
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
先週はトランプーバイデンの大統領選討論会が「大惨事」だったとレポートしたが、今回は、こちらの時間の昨夜、開かれた副大統領候補の討論会。
その勝者は、カマラ・ハリスでもペンス副大統領でもなく、ハエだった。
ディベートがヒートアップした中盤、突然ペンス副大統領の白い頭に黒い大きな点が発生。ペンス氏は気付かずそのまま喋り続けるが黒い点は消えない。
よく見るとその黒い点は大きなハエ。
ペンス氏の平らな頭が居心地がいいのか、しがみついて飛び立たない、もちろんペンス氏も気付かない。たっぷり2分間は滞在。
これがソーシャルメディアで爆発(私も思わずツイート)他のどの議題よりも話題になったため、勝者はハエということになったわけだ。
逆にいうと、どちらが勝ったのか、今回もよくわからない討論会ではあった。
確かに先週のトランプーバイデンのような大混乱はなかった。しかし、トランプ氏のような激しい妨害はなかったものの、ペンス氏はカマラの話を妨害し、持ち時間2分を超えてモデレーターの女性に何度注意されても喋り続けると言うトランプ氏と同じ作戦。
カマラが「ペンスさん私はまだ喋っています」と切り返す場面も。史上初の女性黒人副大統領候補としては、堂々として非常に冷静で品格さえ感じさせる態度だった。逆にペンス氏は終始守りに入っている印象を受けた。
そして今回のディベートの最大のトピックはトランプ氏も感染したコロナ。
まずカマラが「トランプ政権は1月末の段階でコロナの危険性を全て知っていたのに対応しなかった、対策が大幅に遅れた大失敗」と指摘すると、
ペンス氏は「民主党は多くの人を救うコロナワクチンにネガティブに ケチをつけて政治の道具にしている」と反撃。
いやいやこれは違う。民主党がケチをつけているのではなく、CDCやFDAなど政府機関が、早すぎるワクチン開発は危険と警告しているのを指摘しているだけなのだが。
そのコロナ、トランプ氏の感染と同時に全米が危機に瀕していると言っていい。
現在ホワイトハウスは政権関係者、従業員、ジャーナリストも含め30人以上が感染しクラスター化している。
一方アメリカ50州のうち32州で感染が拡大、ニューヨークでも一部地域で学校や飲食店が再びシャットダウンした。
そしてテキサスでは、同じマスクを何日も使いまわしていたと見られる医師がなくなるなど、半年前のニューヨークと同じことが起きていることに怒りすら感じる。
ところがトランプ氏は昨日のビデオメッセージで、
「コロナになったのは神の恵み。そのおかげで自分は特効薬を発見したのだから。」
しかし、トランプ氏が投与された重傷者を治療するための薬は、まだFDAに認可も受けていない、つまり特効薬ではないし、一般人には手が届かないもの。
相変わらずコロナを低く見積もる トランプ氏に対し、政府の感染症のトップは、このままの状況が続くとこの冬20万人が亡くなり、来年の早い時期までに死者の合計は40万人以上になると警告している。
ちなみに来週2回目の討論会はバーチャルになることが提案された。トランプ大統領の最新の検査結果は公表されていないこともあり、相手のバイデンはじめ参加者の安全を考えると当然の判断だろう。ところがトランプ氏はそれに猛烈に反対したために、討論会自体が中止になると見られている。
実はトランプ氏は1回目の討論会後の世論調査で大きく支持を落とした、特に女性と高齢者が離れたと報道されており、今リカバリーに必死だ。トランプ氏が自ら支持率を落とすような態度をとているとしか考えられないのだが、今後どんな手に出てくるのか。まともな人には想像もできない手段に出てくる可能性もあり全く油断はできない。