10-19-20
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
大統領選まで後15日、
アメリカ人の3000万人がすでに郵便投票または期日前投票している。もちろん新記録だ。
その過半数が民主党バイデン支持者と推測されているが、驚くのは8時間から10時間待ちという列に並ぶ 有権者の姿。
なぜそんなに急いで、そこまでして投票するのか?
それは、とにかく心配だから。
世論調査ではトランプ氏のコロナ感染以来バイデン氏が 全米規模で10%以上にリードを広げている。選挙結果を決めると考えられる激戦州の多くでもバイデン氏優勢が伝えられているが、それでも何が起こるかわからない、油断はできない。さらに懸念されている郵便投票への妨害(投票用紙が大量に紛失したり届くのが遅れるかも)や、当日の投票妨害。武装した自警団が現れて威嚇するかもしれないし、大勢の有権者が殺到して機械が壊れるかもしれない。これらは空想ではなく過去に実際に起こったか、現実に起こり得ると警告されていることばかり。
特に激戦州の中でも共和党知事の州では、民主党支持が住む地域の投票所を減らしたり、カリフォルニアでも共和党がまぎわらしい偽の投票箱を設置するなど、明らかな投票妨害を堂々と行っているから安心できない。
こうした状況が1日も早く確実に投票を済ませたいという行動に繋がっている。そして今回の選挙はトランプ対コロナの戦い、バイデン氏がリードを広げた背景にも、ここに来て全米規模で急速に拡大するコロナ感染がある。
先週木曜日の1日の感染者が6万人を超え、この数は8月初旬のピーク以来。まさに3度目のピークを迎えようとしている。地域によってはコントロール不能の状態とも報道されている。
今回は特にトランプ大統領の再選の鍵となるウィスコンシン州など激戦州での感染拡大が目立つ。しかしトランプ氏は最後の追い込みでの遊説で、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしで貫いている。対するバイデン氏はドライブインシアター方式を採用。
国民の過半数はトランプ氏のコロナ対策を不合格としている。ところがトランプ氏は自らの感染にも関わらず未だにコロナを低く見積もるだけではない。
あらゆるシャットダウンに反対するトランプ氏は、激戦州の1つミシガン州で厳しい対策を行っている民主党のウィットマー知事に対し、「ミシガンに自由を」などと攻撃してきたが、1週間前、その州知事に対し武装集団による誘拐殺害未遂事件が発生。ウィットマー知事はトランプ氏の煽るような言葉が原因と怒りを露わにしたが、トランプ氏は集会でさらに彼女を攻撃、訴追するとまで発言。それに対し支持者が「彼女を牢獄につなげ」(2016年ヒラリーに対するスローガン)と叫ぶなど、一種異様な様相を見せている。
しかしそれでも、トランプ氏の勝利の可能性の憶測が消えないのは、間も無く決定されるとみられる、 保守派判事バレット氏の最高裁への指名が、トランプ氏の追い風になると考えられること。
そしてヒラリーの時も今の時期10%リードで、その後新たなemail疑惑の煙が立ち(オクトーバーサプライズ)結局彼女に非はなかったことが投票日の2日前に発表されたが、時は既に遅し、トランプに負けたという苦い経験がある。
ギリギリまで予断を許さない今、民主党支持者の期日前投票の波はまだまだやみそうもない。
でもコロナが怖いから投票所に本当は行きたくない。
そう考えるとまさにアメリカ人に、特に民主党支持者にとって本当に命がけの選挙ではある。