01-25-21
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
1月20日の就任式を少し振り返ると、レディ・ガガのアメリカ国歌で始まって、バイデン氏がとにかくユニティ(団結)を訴えるスピーチ。これを聞いて、ああやっぱりアメリカは一人一人の違いを超えて頑張っていかなければと皆が感じた・・・が、
1週間も経っていないのにもう分断が起きている・・・!?というのが今日のお話。
もともと違いを超えて繁栄してきた移民の国アメリカで積み残されてきたのが、黒人をはじめとしたピープルオブカラーなどマイノリティ。
実はバイデン大統領は、こうした制度的人種差別と呼ばれるものに本気で取り組もうとしている史上稀に見る大統領と言われている。時代が要求しているというのもあるわけですが、
例えば先週末でアメリカでの感染累計2500万人を超えたコロナも、貧困層が多いブラック&ブラウンピープルへの医療が行き届いていないことが、ここまで悪化した大きな理由の一つとされている。
そして去年のBLMによって、白人とそれ以外の差別を無くし格差を縮めなければ、社会は安定しないという認識が広まりました。逆に白人至上主義者が台頭したことが、先日の議会襲撃の大きな原因になっている。その背景にはトランプ氏による白人至上主義者の容認発言。そして人種やジェンダー差別を禁止する法案を、撤廃したことがありました。
それに対しまずバイデン政権は、これまでの白人男性主導だったトランプ政権から一転、人種やジェンダーも含め最もダイバース(多様な)なものに。
もちろん副大統領は初めての女性でブラック&アジアン・アメリカンのカマラ・ハリス。
史上初の黒人オースティン国防長官が承認された他、主要スタッフは白人以外が5割。閣僚の3割が女性、ゲイとトランスジェンダーも。
全部合わせるとチーム全体の85%、つまり白人の男性がわずか15%という報道も。
政策的には就任直後から大統領を次々に出して、トランプ氏が発した中東諸国からの入国禁止、メキシコの壁の建設禁止などの人種差別的な法を撤廃。つい先ほどはトランスジェンダー兵士の入隊を禁止していた法律も撤廃しました。
またこれから議会で審議される2兆円のコロナ対策予算案には、最低時給を1500円にする法案も盛り込まれ、これは全てのアメリカ人の生活を向上させると考えられている。
しかしこれに対し共和党支持者からは既に強い反対も上がっている。
ある共和党議員は「バイデン大統領は自分たちを白人至上主義者と呼ぶのか」と反発。またこうした対策は特定のグループに利益をもたらすから反対という声も。分断への対策が分断を深めるという状況になっている。
しかし批判を受けつつもこの流れは既に企業の取り組みなどにも及びつつある。
例えばアップルがピープルオブカラーのビジネスに対し100億円を投資すると発表。スターバックスも同じような発表をしている。
実はこれは日本企業も無視できないSDGs国連の持続可能な開発目標の取り組みにも影響してくる。(SDGsは環境というイメージが強いと思うが差別などダイバーシティの課題も大きく含まれている)
人種問題はアメリカだけでなく世界の問題。私たちのものの見方価値観にも長いタームで影響してくるはずです。