02-01-2021
(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
バイデン政権誕生から間も無く2週間、トランプ氏が去ってもアメリカの分断は解消しないんだなという実感を皆が持ち始めています。
先週は分断を止めてインクルーシブにしようとすることが、さら分断を呼ぶという話をしましたが、今回はリベラルと保守の分断ではなく、保守共和党内で起きている深刻な分断。
彼が去った後トランプ氏につくのか、それとも離れるのかで分断が起きている。しかもそこに暴力の装置が関わり始めているところに危険な兆候が。
その象徴的な存在なのがマージョリー・テイラー・グリーン下院議員。
彼女は11月にトランプ氏の強い支援を得てジョージア州から初当選、キュアノンの陰謀説を支持していることで一躍有名に。その彼女就任早々過激な態度や発言でメディアが注目せざるを得ない状況に。
1月6日の議会襲撃では議員が避難した密な場所でもマスク拒否。キュアノンの陰謀説を支持、911や小学校や高校で起こった銃撃事件までを演出された嘘であるとし、民主党の重鎮を処刑すべきという発言もしたことがある。
トランプ氏が11月の選挙で圧倒的多数で当選したと主張し、トランプ氏の弾劾にも反対。逆にバイデン新大統領に対しての弾劾を提案。さらに議会内に銃を持ち込んでいるという噂もあり、民主党議員は一斉に反発、
共和党に対し彼女への処分を求めているが、(教育分科会から外すように)共和党は沈黙を続けている。(*結局民主党多数の下院の投票で、分科会からの除籍という形で落ち着いた)
共和党が彼女を排除できない理由はまず、このキュアノンを支持する人が実は当初考えられていたよりずっと多いことがわかってきていること。トランプ支持者の半分?国民の10〜15%
そして同時にトランプ氏の影響力がまだ衰えないと考えられていること。
トランプ氏の上院での弾劾裁判は2月9日に始まるが、退任直後にフロリダに事務所を立ち上げ徹底抗戦の姿勢なだけでなく、早速アーカンソー知事選などにトランプ派の有力候補を立てるなど積極的に政治に関わる態度を見せている。寄付金も入ってきている。
トランプ氏に逆らえば自分の選挙区にトランプ派の対抗馬を立てられて落選させると脅されているから身動きが取れない。またトランプ氏の弾劾に賛成した共和党議員に脅迫状が届き、地元の家族の個人情報も暴露されて危険にされていると報道されている。
そしてさらに1月6日の議会襲撃。この日数時間に渡りロックダウンで命の危機に直面した後の恐怖は想像を超える。もし弾劾裁判で有罪に投票すれば本当に何をされるかわからないという恐れも生まれてくる。そんなわけで襲撃直後はトランプ氏に強い態度を取っていた議員も軟化している。
こうした脅迫の中心になっているのは議会襲撃テロを仕掛けた極右白人至上主義者とキュアノンのグループだが、ネット上にあったものが実際の暴力に変換されたことで、てきめんに恐怖の効果を表していることも間違いない。
万が一の事態に備えワシントンには未だ5000人の州兵が残り警備が続いている。