(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
おめでとうございます!松山英樹マスターズ優勝
アメリカで最も伝統と権威あるゴルフ大会の一つ、マスターズで日本人が初優勝ということで、アメリカメディアでも今朝のトップニュースの一つとしてグリーン・ジャケットを着て満面笑みを浮かべる姿、非常に素晴らしい成績であったこと、ゴルフ好きで多くの名選手を出して来た日本で、国民的ヒーローとして熱狂的に迎えられていること、これで日本には新たなゴルフブームが起こるだろうなどと報道。
詳しいことは日本の皆さんの方がご存知だと思うので、ここではアメリカ人が彼の勝利をどう捉えているのかそれがどう特別なのかというのが今日の話。
まず日本では当然マスターズ優勝「日本人初」と報道されるが、アメリカは違う。
日本人より先に、「アジア人、アジア生まれとして初」と必ず言われる。
これは別に日本を軽んじているわけではなく、アメリカでゴルフというスポーツはタイガー・ウッズが現れるまではほぼ100%白人のスポーツであり、これまでにメジャー大会で優勝したアジア人は2009年韓国のY. E. ヤン選手だけ。
中でもマスターズというゴルフ大会は特に権威がある一方、最も保守的で、今も人種差別に対して鈍感であると批判されている。そこでアジア人が初優勝したことがどれほど歴史的な事と考えられているかがわかる。
そしてニューヨークタイムスの記事には「アジア系へのヘイトクライムが問題になっている中での快挙」とも書かれている。
私もアメリカ人の友達にも言われたが、「アジア系が大変な目にあっている時に彼が勝てて本当によかった。」つまり松山選手の勝利は、日本人やアジア人だけでなく、アジア系アメリカ人にとっても そして多人種社会として前に進もうとしているアメリカ全体にとっても、大きな意味があったという見方ができる。
そして、それにつながっているのが、 キャディの早藤将太さんのお辞儀。
試合後、18ホールのポールの旗を記念に取った後、帽子を脱いでコースに一礼する姿がネットでバイラルに。
日本の報道では日本人らしい礼儀正しさが評価されたというような言い方をされているが、アメリカ人にはもっと深いところに響いたよう。ソーシャルメディアでは、 ゴルフへの深いレスペクトを感じて涙が出たという反応も。普段はお辞儀の習慣がないアメリカ人にとって、お辞儀は最高のレスペクトの表現という習慣の違いはあるが、選手ではなくキャディがそれをしたというところが、響いたのかもしれないとも思う。
そしてウォール・ストリート・ジャーナルとCNNの電子版記事では、このお辞儀こそが、日本人の悲願がついに実ったことを象徴していると書いている。
いずれにせよ松山選手は大坂なおみさんと同様、日本人そしてアジア人の新たなイメージ、ロールモデルとして、アメリカ人の目を開かせたのは間違いないでしょう。