今年のアカデミー作品賞を中心に、ピープルオブカラー(マイノリティ)女性や社会正義をテーマにしたものが目立つ。こうした作品がどこまで受賞できるか?
常に「白すぎる=ダイバーシティのなさ」が批判されるオスカーが、#metooやブラックライブスマター運動、アジア系へのヘイトクライムなどの社会の動きを受けて、どのような結果を出すのかが注目されている。
マイノリティと女性を描く注目作品
- MINARIミナリ :韓国系アメリカ人監督が、親世代の移民の苦労を静かに描く作品で、移民の国アメリカとコロナで疲弊した人々の琴線に触れた。
- Nomadlandノマドランド:アメリカ西部を放浪する高齢者ノマドの生き方を暖かい目線で描いている。高齢化社会、女性の生き方、貧困、多くの社会問題を内包。
- Judas and the Black Messiah ユダとブラックメシア:公民権運動時代に差別と戦った黒人の若者集団ブランクパンサーのリーダーを、卑劣なやり方で殺害したFBIの実態を暴く歴史映画。
- The Trial of Chicago 7 トライアル・オブ・シカゴ7:同じ1960年、ベトナム反戦運動を行って逮捕された若者たちへの裁判を通して、今に繋がる社会や政治の歪みを告発する。
- Promising Young Womanプロミシング・ヤングウーマン : 集団レイプへのリベンジスリラーという形で、#metoo 時代に続く白人男性社会のモラルや社会正義のなさやミソジニーに迫る。
- 残り3作品のうち、Sound of Metal サウンド・オブ・メタルは聾唖者、The Fatherファーザーは認知症を描き、社会的弱者にスポットを当てている。Mank(マンク)は1930年代大恐慌時代の映画業界を描いている。
みどころ
- 去年の韓国映画パラサイトに続き、今年もアジアをテーマにしたミナリが受賞するか?
ゴールデングローブをとったノマドランドか? それとも?
- 監督賞に女性二人がノミネート、クロエ・ザオ(ノマドランド)エメラルド・フェネル(プロミシング・ヤングウーマン)どちらかが取れば、史上二人目の女性監督の受賞となる。
- 主演男優に黒人俳優(チャドウィック・ボーズマン)と韓国系アメリカ人(スティーブン・ユアン)、パキスタン系イギリス人男優(リズ・アーメッド)、女優に二人の黒人女優(ヴィオラ・デイビス、アンドラ・デイ)。助演男優には3人の黒人男優(ダニエル・カルーヤ、レスリー・オドムJr、ラキース・スタンフィールド)、助演女優には韓国人のユン・ヨジュンがノミネートされている。
- アカデミー賞は常に高齢の白人男性が主導権を取っていることで批判され、投票メンバーの多様化に務めている。またエントリー作品に対しても内容や出演者、スタッフの「ダイバーシティ・ルール」が去年9月に策定され、2024年から適応される。