(JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成しています。)
05-13-21
世界が変わっているなーというのは、毎日のニュースからも感じられると思いますが、私が強く感じたのはこの話題。
ブラック・スーパーマン映画、製作準備中。
スーパーマンといえば、アメリカが生んだ世界のスーパーヒーローの中のスーパーヒーロー。
普段はあまりさえない新聞記者、事件が起こると赤いマントに変身し、弱い者を助けに空を飛んでいく。
1938年アメコミのキャラとして誕生。日本も含めその後のスーパーヒーロー、変身モノにも大きな影響を与えた。
映画では70年代のクリストファー・リーブから、最近のヘンリー・キャヴィルまで、超ハンサムしかもインテリで繊細なキャラを演じたのはもちろん全て白人。
これを、黒人俳優で製作準備中というニュースがアメリカに衝撃を与えている。
これまでアメリカ映画に白人以外のスーパーヒーローはほとんどいなかった。
2018年オールブラックキャストのブラックパンサーが歴史的な大ヒットになったのが初めて。ヒットの背景にはもう押し戻せない多様化の波が。
ダイバーシティ&インクルージョン、 ピープルオブカラーを取り込まない作品はもう成立しない、という変化が急激に進んでいる。
白すぎると批判されてきたアカデミー賞はダイバーシティルールを設定。(2024年から)
4大ネットワークのNBCは同様に白すぎると批判されたゴールデングローブ賞の来年の放映を取りやめた。
こうした中でブラック・スーパーマンの誕生は歴史の必然。
それにしても、なぜこれまで黒人のスーパーヒーローがいなかったのか?
アメリカという差別社会が作り上げてきた、黒人は悪者というイメージに映画業界も加担してきた。
さもなければ白人が黒人を助けるという図式で、その逆はまず存在しなかった。
新しいブラック・スーパーマンはアメリカの本当の現実を踏まえつつ、どういう作品になるのか?
そして主演のスーパーマンが誰になるのかでも論争が巻き起こっている。
そもそも黒人のスター俳優はまだまだ少ない上に、マイケル・B ジョーダン、ジョン・デイビッド・ワシントンも全然ピンとこない。というのは彼らはハンサムでパワフルでセクシーではあっても、さらにインテリで繊細というキャラにハマる人が思い浮かばない。
つまり、そういう役柄がこれまでになかったから、演じる俳優もいないわけです。
黒人のタイプキャストといえば、ギャング、警官、またはコメディアン。
これはアジア人も同じで、男はカンフーかチャイニーズマフィア、女は売春婦かせいぜい医者、
役があまりに限られているから、役者も育たないのは当然、ということで
今度のスーパーマンはこれまでのステレオタイプにはまらない黒人像とそれに値する才能の発掘にも期待がかかっている。
そして今後の他のヒーローフランチャイズにも影響を与えるのは必至。
バットマン、スパイダーマンなどのスーパーヒーローはもちろん、007ジェームス・ボンドも黒人が誕生する可能性大。
それを言うならアジア人だって後に続いてくるはず。
ブラック・スーパーマンは色々な意味で、人種のイメージや人種間の関係を大きく変える可能性がある、それはアメリカだけでなく世界に影響するインパクトを持っている。