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JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成したものです。
アメリカでは先週末公開、興行成績トップだった「デューン砂の惑星」(日本は15日公開)1965年に発表されたS F小説の映画化で、80年代にも一度映画化されてクラシック作品となっている。
今回はティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、ジェイソン・モモアなど今一番ホットなスターが出演して大きな話題に。
同じ宇宙を舞台にしたSFでもスターウォーズなどと違い、複雑である意味重い物語だが、実はその最大のメッセージは地球温暖化への警鐘であったことが、今回特に注目を集めている。
どういうことか? まず物語の設定を見てみよう。
アラキスというまさに砂漠しかない惑星には、ここだけでしか採掘できないメランジという人類にとって最も重要な物質がある。
人類に危機を与えたコンピューターが禁止された世界では、宇宙旅行のためにはこの物質を欠かすことはできない。
ここに、宇宙皇帝の陰謀によって送り込まれた公爵の息子ポール(ティモシー・シャラメ)が、先住民族のフレーメンたちに助けられ、砂の惑星を生き抜いていく・・・
まずこの惑星が人間の活動により砂漠化してしまったという前提が。
1960年代というのは地球の自然破壊が問題になり始めた頃で、多くのSF小説がテーマとして取り上げている。
でも原作者のフランク・ハーバートが一歩抜きん出ていたのは、
彼は地元でもあるワシントン州の先住民族(ネイティブアメリカン)から、
彼らの居住区の自然破壊の現実を学び、また自然と生きると言うのはどういうことかを教わり、それがデューンの 世界観、先住民族(やはり人間の帝国に弾圧されている) の描き方に大きな影響を与えている。
この砂漠がリアルに感じる最大の理由は今アメリカ南西部を襲っている歴史的な旱魃。
特にコロラド川という7つの州に飲み水と農業用水、フーバーダムなどによる電力を供給する大河の水位が劇的に下がり、流域の貯水池は20年前の3割しか水がない。

温暖化で川に流れ込む水が既に減って来ているのも原因。
カリフォルニア州そして連邦政府も非常事態宣言を出し、歴史的な農地の削減。
このままでは食糧不足、さらに電力不足になる懸念も。
一方上流域の人口増加も影響し、流域によっては5〜10年で水供給ができなくなり、砂漠に戻ってしまうのではという懸念も。こうなると州と州の間での水の権利争いも。
物語では先住民族が発明した、体液を飲み水に変える特殊なスーツが出てくるが、これがものすごくリアルに感じてしまう。
60年近く前に時代を先読みした作品が、今月末から始まる国連気候会議を前に,今再び未来を警告しているように見える。