JFN/TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成したものです。
優秀な映画とテレビ作品に与えられ、アカデミー賞の行方を占う重要な賞の1つでもある第79回ゴールデングローブ賞が9日日曜日に発表され、日本の「ドライブマイカー」が非英語映画賞を受賞、おめでとう!

他には「イカゲーム」のおじいさんオ・ヨンスがベスト男優、
そして最優秀映画には、ゴシック・ウェスタンと呼ばれ西部劇の常識を覆す「Power of the Dog」(「ピアノレッスン」でオスカー受賞のジェーン・カンピオン監督)最優秀ミュージカル・コメディ映画はスピルバーグ監督が普及の名作リバイバルに挑戦「West Side Story」
こうした映画の受賞はめでたいが、今回のゴールデングローブ賞自体はあまりにも残念なものだった。
大きな会場ではなくホテルで参加者200人程度、ノミネートセレブの参加もレッドカーペットもなし
さらに最も衝撃的だったのは、長年中継してきた4大ネットワークNBCテレビでも他のネットワークでも中継一切なし、ストリーミングもなしで、受賞者がツイッターで発表されたのみ。
その理由はコロナではない。ゴールデングローブを主催するハリウッド外国人記者協会の腐敗と人種差別が明るみに出た結果がこれ。
何度もお伝えしていますが、どのアウォードも(アカデミー、グラミー賞含め)ここ数年受賞が白人の作品と俳優に偏っているという批判を受けるようになっている。
しかしゴールデングローブの実態は桁違いだったことが去年の授賞式の直前に発覚。アカデミー賞が1万人近い審査メンバーを抱えるのに比べ、ゴールデングローブはわずか87人で、権力が集中し腐敗が進行。しかもその中にメンバーに黒人が一人もいないというのが大きく報道され大問題に。
それから主催のハリウッド外国人記者協会はそれなりに努力を始めた。
チーフ・ダイバーシティ・オフィサー(アメリカの大企業が多様化を進めるために雇う重役)を導入、メンバーを21人増やしそのうち6人は黒人に、とやっている最中に、セクハラ疑惑もあった前会長が「ブラックライブスマターはヘイト組織」と決めつけたことで大炎上。組織の変革を進めていた関係者が次々と辞任、
トム・クルーズがこれまでの賞を返上するなど俳優からも、 制作、配給会社からも総スカン状態に。
そしてついにNBCテレビが「ゴールデングローブの問題はそう簡単に解決しない」と判断し中継のキャンセルを決断。
かつては黙認されていた人種差別も、BLMの時代にはもう許されないし、アジア系に賞をあげたくらいでは解決しない。
アカデミー賞にとっても他人事ではなく、そういうことも含めて今年の賞レースは注目。