知らなかった!ニューヨーカーが電気料金2倍に絶叫〜マーケット価格で予告なしの値上げも合法 Why My Electricity Bill So Expensive?

022122 TOKYOFM 全国36局ネットのOn The Planetでレポートした内容に加筆再構成したものです。

ロシアのウクライナ侵攻は一体どうなる?戦争自体も不安だが、今ニューヨーカーが驚いている、いや怒っているのは値上げ。

パンデミックで激減した原油需要が急速に回復しているためにあらゆる価格が上昇しているのはもうわかっている。

それが世界の原油の10%を生産しているロシアが戦争することで、 厳しい経済制裁により世界で原油危機が起きるのではと言う懸念だけでもうエネルギー価格が上昇している。

原油が上がればあらゆるものの物価が上がるので、身の回りのあらゆるものの値段がどんどん上がっているのを感じるが、ニューヨーカーがびっくり仰天したのは1月の電気ガス料金。

ニューヨークの電気とガスはCon Edisonという エネルギー会社から供給されているが、 その1月の電気料金が 前の月の1.2倍から人によっては2倍3倍になったという。一軒家に住んでいる方で東京でアパートが一軒借りられそうな値段になったと嘆いている方もいる。

何が起きたのか?

●ニューヨークの電気料金は二重構造になっている

Con Edisonは日本の東電のように自分では発電しない、他から電気を買ってそれをそのまま売って供給する会社。

でもその送電・変電などの設備は必要だから、電気料金はデリバリーチャージ(設備送電料金)とサプライチャージ(電気そのものの料金)に別れている。

Con Edisonは1月そのデリバーリーチャージを引き上げた。これも小さくない。
でも問題はサプライチャージの方。

ニューヨークにやってくる発電の7割は天然ガスによって賄われている。

その天然ガスはアメリカ国内で生産されるが、世界中に輸出もされている。

つまりグローバルなエネルギー市場の値上がりがそのまま消費者の値段に跳ね返るという、ガソリンの値段と同じ仕組み。つまりマーケット価格。

正直言ってこういう仕組みだったとは私も含めてあまり考えていなかった。

夏にエアコンを使えば料金は上がるがその程度だったから。

今回のこの劇的な値上がりで、私たちの暮らしは世界のエネルギー市場の不安定さの影響をもろに受けていることを思い知った。

しかしそれ以上に驚いたことがある。このサプライチャージ料金に対する政府の規制がないこと。

●値上げ幅は規制されないし予告する必要もない

日本では電力料金は政府の規制が入るから、値上げ前には必ず「上がりますよ」というのがニュースになる。

でも今回 ニューヨーカーが憤っているのは、 2倍3倍に膨らんだ電気料金の請求書が突然届けられたこと。

上げ幅はマーケット価格に合わせてよく、それを予告する必要もないことになっている。

いくら価格が変動するといっても、電力会社から見れば今回の値上がりはパンデミック後の需要増大やウクライナ危機で予想できていた。でもそれを消費者に伝える義務は電力会社にはない。ただ請求書だけを送ってきて払えなければ容赦なくサービスを止められる。(しかもパンデミックで値下がりしたという記憶はない。)それでも1社独占なので消費者はどうしようもない。日本は値上げを発表するだけまだましと思った方がいい。

自社の利益だけを考える企業の体質と、それを規制しない政府のやり方に強い批判が集まり始めている。実際Con Edisonの株は上がり続けているから。

あまりの事態にNY州知事は改善を申し入れたが市民は全く信用していない。ニューヨーク市は低所得者で払えない人は助成金の対象になる可能性もあるので申し出るようにと呼びかけている。311(市役所の何でも相談ナンバー)に問い合わせる手はあるかも。問い合わせが多ければ多いほど政府も対応するだろうから。

●再エネ?むしろ化石燃料帰りが起きている

化石燃料危機の中、再生エネルギーへの転換が進むのではという希望もある。もっと普及すれば再エネは基本コストがゼロだからエネルギー市場は安定するはずだからだ。

と思うと実は腹立たしいことにそうでもないようだ。目の前のエネルギー危機を凌ぐために一旦減らした化石燃料の生産が再開され増産が進みそうだ。

困ったことに化石燃料がなくなると困る人、そして市場や価格が安定して欲しくない人も世の中にはたくさんいる。価格の変動で儲けているインベスターもそうだろう。

再エネ小規模事業者から電気を買うこともできるが結局同じ電力会社を通すので返って高くつくと言われている。

再エネを推進するためには巨大なお金が必要、そのためのバイデン氏の予算案は共和党の反対にあって頓挫の危機にあり11月の中間選挙で民主党が負ければ確実に頓挫。世界の再エネ推進への足枷になるのは間違いない。

1つの希望はこの痛みで皆の意識が高まって政府や企業への圧力が高まることだが、短期で考えるとこのエネルギー危機で再び化石燃料を!という動きが高まり地球環境にはよくないのは間違いなさそうだ。

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