毎年波紋を呼び続けるグラミー
グラミーは豪華なパフォーマンスが話題になりますが、
受賞結果も毎年様々な波紋を呼びます。
大方の予想を裏切って、え!?という受賞結果が論争になることが多い。
例えば?
最大の論争は、黒人アーティストが冷遇されているのではないかということ。
特に4大賞(新人賞、アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀ソング賞)のうち、
最も重要とされるアルバム賞を黒人が取ったのは、グラミー65年の歴史で11人だけ。
また過去2回は、ヒップホップやポップなどのヒット作品ではなく、
ほとんどの視聴者が聞いたことがないジャズのアルバムが受賞。
アメリカ史上非常に重要な役割を果たした黒人音楽への、正当な評価が欠けている、
さらに、あまりに今の現実とかけ離れてしまっている!という批判が絶えません。
グラミーの投票メンバーの致命的な偏り
最大の原因は、グラミーの投票メンバーの偏りと言われています。
12000人いるグラミーの投票メンバーは40代以上の白人男性が圧倒的。
これが批判を浴びたために、
2018年から特に女性とマイノリティ、若者の投票メンバーを増やす改革を開始。
現在女性は3割、マイノリティ3割、40歳以下のメンバーもようやく3割まで増えました。
改革が反映されてはいるが・・・
結果はある程度は出始めている。
たとえば今年初めて、トランスジェンダーのシンガー、 キム・ペトラスがサム・スミスとのデュエットでBest Pop Vocal Duo。リゾが最優秀レコード賞を受賞。
グラミー主催者側も頑張っていて、今年は2つの野心的な新しい賞が誕生。
Dr. Dreインパクト賞(ヒップホップ・レジェンドDr. Dreの名前を冠した賞)
ソーシャル・チェンジ賞(イランの人権運動のアンセムを歌ったイラン人ミュージシャンShervin Hajipourが受賞。ファーストレディのジル・バイデンがプレゼンター)
またヒップホップ50周年記念企画では、新旧33人ものアーティストが競演するなど、野心的な試みがいっぱい。
大本命のビヨンセは「やはり」受賞できなかった
ただ最後に発表されたアルバム賞で、大本命と見られていたビヨンセが受賞を逃した。
ビヨンセは今回32個目のグラミーをもらって、史上最多受賞の記録を更新したが・・・
その勢いでビヨンセがアルバム賞もとって、という図式をグラミー側は想定していたはず。ところが取ったのはハリー・スタイルズ。
そこで、ああやっぱり、ということになってしまった。
ハリー・スタイルズも素晴らしいのですが、これには伏線がある。
実はビヨンセは輝かしいグラミー受賞記録の中で、4大部門を取ったのは最優秀ソング1回だけで、あとは小さな賞ばかり。
特にここ2枚のアルバムは大ヒットしただけでなく、歴史的、社会的にも重要とされ、最有力候補だったにも関わらず受賞を逃している。
ビヨンセが受賞できないのはやはりおかしい、まだまだグラミー側の努力が足りない、と言う批評家も多い。
実はこうした論争は今に始まったことではなく、これまでに、The Weekend, Drakeというビッグネームがグラミーをボイコットしている。
いずれビヨンセにも見放されるのではないかという声も。
ただ一方で、別の現実もある。
若者に見放されるグラミー
私のまわりの若いZ世代、グラミーで誰が何を取ったかにはほとんど関心ない。
Z世代はテレビ自体をあまり見ないし、
グラミーに関しては、YouTubeで話題になったパフォーマンスを見るくらい。
こうなるとグラミーの存在自体も危うくなってくるかも。
再び若者を惹きつける体質改善は、できるのだろうか?